AirH"カードを用いて接続する場合にIPパケットサイズを変更する(MTUなどの調整する)ことによって速度が改善されるということなのでその方法について書こうと思う.できるだけ,幅広いOSに対応したいが,どうなるか???その後,DDIポケットからは128kパケット通信での最適値はMTU1500/RWIN17520ということが発表されています.
はじめに
DDIポケットのAirH"のサイトにIPパケットサイズの調整を促す注意書きが追加された.DDIポケットがどういった主旨でこの設定を促しているのかは定かではないが(現在確認中),おおよそ速度を少しでも改善させようというものであると思われる.IPパケットサイズというものは実際にはMTUなどを変更することである.以下,ネットワークにおける基本的な用語の説明です.そんなのどうでもいいから設定の仕方だけ教えろという人は設定のほうへどうぞ(^^;
- MTU(Maximum Transmission Unit−IPパケットサイズ):
- ネットワーク通信において,インターフェイスが一度に転送できる最大のパケットサイズのことであり,転送するパケットサイズがMTUより大きな場合は分割して転送されます.分割して転送されたデータは受け取った際に組み立て直す必要があります.当然,MTUを小さく取った場合同一データを転送するためにより多く分割され,それぞれにヘッダなどの余分なデータが付随するため実測のスループットは小さくなります.逆に,MTUを大きくすると理論的にレスポンスは悪くとなる.
- MSS(Maximum Segment Size):
- TCPによるデータセグメントの最大値で,通常はMTUから40を引いた値を採用する.
- RWIN(Recieve Windows Size−受信バッファサイズ):
- TCPにおいて確認応答無しに一度に受信できるデータ量のことで,RWINを増やすと応答が頻繁に発生しなくなり,送信側で応答を待つことが減るので送受完了までの時間が短くなる.
- TTL(Time-to-live):
- 目的アドレスに到着していないIPパケットがネットワーク内に存在できる最長時間のことで,発信IPパケットのヘッダーに設定するデフォルトを指定します.
通常,ADLSやCATVなどの高速通信にはIPパケットサイズ大を設定し,電話回線によるモデム接続などではIPパケットサイズ小を設定するが,DDIポケットの話ではAirH"は速度は遅いんですが,AirH"のパケット式通信ではIPパケットサイズ大のほうが通信効率がよいという話です.これは,IPパケットサイズ大にすることによるレスポンスの低減よりも通信効率の向上の効果のほうが高いんだそうです.つまり,IPヘッダなどのロスは影響が小さいということでしょうか・・・.また,RWINはパケット損失時などにおけるロスの低減のために小さくすることが望ましいらしいです.
しかしながら,極端な場合において実施してみるとMTUは確かに大きいほうが多少早いことがわかりますが,同時にRWINも大きいほうが速いように思われます(速度調査でもそういう結果が出ます・・・).まぁ,DDIポケットが小さいほうがいいというのならそうしておきますが・・・.
ちなみに,デフォルト(何もしない状態)では
OS | MTU | RWIN |
Windows9x/ME | 自動(AirH"の場合576になる) | 4288(MSS×8) |
WindowsNT/2000 | 1500 | 17520(MSS×12) |
WindowsXP | 1500 | 65536(MSS×44) |
WindowsCE | ? | (MSS×32) |
MacOS | ? | ? |
MacOS X | 1500 | 32768(MSS×22) |
Zaurus | 1500 | ? |
各OSでの設定
Windows9x/ME
DDIポケットのAirH"のサイトに設定についての注意書きがのっていたので参考にしよう(IPパケットサイズの変更方法)!
設定方法は上記サイトに詳しくのっているのでここでは説明しないが(細かい設定をしたい人は下のWindows2000のところにあるフリーソフトを使ってみれば?),これまでIPパケットサイズが小となっていた人には効果はあるようだ.実際,この設定をしてから速度が速くなったという話を聞いている.また,Windows2000を使っている私はわざわざIPパケットサイズを小さくしてやってみたところ,この上ない低速を体験できた!もちろん,その後元に戻したのだが・・・.
設定ついでに書くが,ソフトウェアの圧縮の項目などにチェックが入っているということも速度を低減させる原因になるようだ.たいした差じゃないけどね・・・.
ちなみに,Windows95でも同様の設定をすることが可能だと思われる(手元に95マシンがないので確認は取れていないが・・・).
WindowNT/2000/XP
基本的にWindows2000/XPではデフォルトでIPパケットサイズが大と同等に設定されている.そのため,特に変更する必要はない.というより,むしろこの設定による速度回復の見込みがない・・・.まぁ,細かいことを言えば多少はあるのだが・・・.しかし,注意が必要である.一部のスピードを高めるアプリケーションやダウンロードを加速させるアプリケーションにはMTUやRWINなどの設定を勝手に変更してしまうものもあるようだ・・・.例えば,某有名CMでおなじみの○速なんかもそのひとつだ!そういったアプリケーションをインストールしている人はきちんと調べてみよう!
IPパケットサイズ(MTU)の変更は面倒なので書かないことにしました.ちょうどZDNetのTipsに変更方法が紹介されたのでそちらをご覧下さい(Windows2000でMTUサイズを調整したい).また,RWINなどは変更して意味があるかわからないので,とりあえず,避けておきます.といっても,実はRWINのほうが重要かもしれませんが・・・.そうそう,RWINもZDNetのTipsに変更方法が追加されたのでご参考までに・・・(Windows2000でRWIN値を設定したい).ちなみに,Windows98/MEでのIPパケットサイズ大に相当するMTUは1500です.
また,初心者にはレジストリを直接書き換えるのは難しいかもしれないので,フリーのアプリケーションを用いて設定することをお勧めする.この場合においても,レジストリの保存などをして行うことが望ましい.別に,どのアプリケーション使っても同じです.
- AirH"アクセル
- DDIポケットが提供するMTU/RWINを設定するアプリケーションです.やっぱり,AirH"ユーザーならこれを使おう!?まぁ,普通に使えます(w
- Dr.TCP
- かなり前からあるMTU/RWINを設定できる英語のアプリケーションです.別に,いまさら英語版を使う必要はないけど,英語好きな人はこれでしょ???
- NetTune
- MTU/RWINだけでなく,ネットワーク(TCP/IP)に関するいろいろな設定を行えるアプリケーションです.
- EditMTU
- MTU/RWINだけでなく,ネットワーク(TCP/IP)に関するいろいろな設定を行えるアプリケーションです.
- 窓の手
- MTU/RWINなどのネットワークの設定だけでなく,Windowsのあらゆる設定を網羅する痒いところに届くアプリケーションです.定番ソフトがMTUなどにも対応しました.
WindowsCE
Mac
シェアウェアかつ英語ですがIPNetTunerというアプリケーションで変更できるようです.また,Mac Clinicさんにて使い方や日本語化キットを公開しています.さらに,MacOS X用GUIアプリとしてRMACというものもあるようです.
現在の自分の状況を知る
さて,設定したが果たしてちゃんとその設定になっているかということをしりたいとは思わないだろうか?そこで,SpeedGuide.netにあるTCP/IP Analyzerを利用することで知ることができます.ネット上でTCP/IP Analyzerにアクセスするだけで状態がわかります.
どの値をとればいいのか?
これが一番重要なのかな?といっても,基本的にMTU1500,RWIN17520(MSS×12)あたりがいいようです.よろず雑感堂さんのにてAir H" 最適設定...?にていろいろと試されており,私もいろいろ試しましたが,そんなところだと思います.個人的には夜の回線が混雑しているような時間帯にはRWIN(MTU)値が大きいとパケットロスが大きくなるようで,ブラウジングなどはエラーが出ることが多くなるような気がします.そういうときは,値を小さくすると表示できるようになります.ただし,回線が混んでいるためか,値を小さくしたためかはわかりませんが速度が遅くなりますので注意してください.
また,通常は応答時間などから通信方式に最適なMTU/RWINを模索します.ただし,AirH"の場合は,ほぼこれに当てはまりません・・・.ただ,確かにMTUを1500にした場合は,RWINの最適化を行うと17520あたりになるようです.
(2001年10月15日)
MacOS用アプリケーション「IPNetTuner」の使用方法および日本語化キットを公開しているMac ClinicさんおよびMacOS X用GUIアプリケーション「RMAC」を追加した.
(2002年2月23日)
AirH"アクセルを追加した.
(2002年3月29日)