本多エレクトロン製のAirH"128k対応PCカード端末「AH-H407P」を新規契約にて取得したので使った感想などを以下に述べる.AH-H407Pは,‘ジャストPCカードサイズ’というコンセプトを基に非利用時にはアンテナ部分が引っ込みぴったりとパソコンのPCカード(PCMCIA)スロットに収納できることが大きな特徴である.AH-H407Pの主なスペックや情報については,当サイトのWikiのほうにまとめてあるのでご覧頂きたい(AirWiki: AH-H407P).本多エレクトロンとしては,初のAirH"128kパケット対応端末の「AH-G10」,そして見た目はほぼ同じだが中のチップなどを「AH-H401C」と同一にした「AH-H402P」に続き3番目のAirH"対応PCカード端末となる.これまで本多エレクトロンのPCカード端末はアンテナがしっかりしており,絶対感度の高さはかなり評価が高かった.そこにこのPCカードスロットからほとんどはみださないという感度のよさとは相反するメリットを打ち出してきたAH-H407Pがどれだけ感度を保てているかも注目である.
見た目
箱は従来のものと比べかなりコンパクトになっている(写真左).大きな違いはないものの厚みが薄く,他のCFカード端末などの箱と比べても同等か小さいと思われる.中身もいつも通りダンボールのような厚紙に青いビニールで端末が包まれて入っており,それにAirH"簡単セットアップのCD(ユーティリティソフトなども含む),そしてDIONのセットアップCDが入っている(写真中央).特筆すべきことは特にないが,ユーティリティソフトにはAH-H407Pがカード端末ではじめてタイでの国際ローミングに対応したこともあり,国際ローミング用のユーティリティソフトが入っているのには注目したい.また,この端末は‘ジャストPCカードサイズ’としてパソコンなどのPCカードスロットに刺しっぱなしで利用することを想定しているため,キャリーケースなどは付属していない.また,本多エレクトロンの製品は毎回コンシューマ用として洗練されている部分があるが,今回見つけたのは例の端末を挟んでいるダンボールのような厚紙に赤く注意書きが書かれていた(写真右).本当に少しずつだがどうにかしようという工夫が見られるのは個人的には好きである.
注目のアンテナ収納部分のギミックは「AirH"」のロゴの部分が2段階に伸び縮みする構造となっている(写真左).アンテナの先端部分に爪をひっかけるような部分があり,それによりPCカードスロットに完全に収納した状態からアンテナを引っ張りだすことが可能となっている.収納ギミックが完全に収納状態のときにはアンテナはほぼ上下の方向の自由度はなくなり,1段階目で上下方向に45〜60度程度の自由度が生まれ,2段階目(完全に伸びた状態)で自由となりアンテナを立てることができる.また,アンテナはAH-H403Cのように脱着式ではなく取り外すことはできない.モード/アンテナランプはアンテナと反対側に厚み方向に並んでついている.これだとPCカードスロットに刺している状態のときはやや斜め横から覗かないとわからないだろう.
でっぱり
でっぱりもなにも‘ジャストPCカードサイズ’なんだからでっぱりはないだろ!というのは置いておいて,収納状態ならジャストですけどアンテナを伸ばすとでっぱるわけです(笑)!久々にAH-G10まで引っ張り出してきて比較してみました.その他,CFカード端末もPCカードジャケットに入れての比較です.いまさらながらAH-H403Cが中途半端な薄さでPCカードジャケットが通常のCFカード型のものと違うのが鬱陶しいです.まぁ,当然ながらかなりでっぱりは小さいです.これは嬉しいことですが感度に影響しなければいいんですけどね(^^; これまで何度も書いてきていますが,パソコンのPCカードスロットはほぼ唯一本体に大きな穴があいている部分なのでCPUなどのノイズが流れ出るためノイズの影響が大きく出る機種(パソコン)が多いのです.このノイズによりカード型通信端末は電波感度に影響を受けるのですが,特にPHSは微弱な(出力の小さな)電波を利用しているので影響が大きくでるようです.あまりに相性が悪いと最悪ぶちぶちとすぐに切断されるというようなことも起こりえます.そこまでいかなくても同じ状態の他の組み合わせよりも感度が悪い状態となってしまい,通信状態が不安定になる場合があるのででっぱりを小さくするのか感度をよくして通信状態を安定化させるかはなかなか難しいところのようです.まぁ,この端末の感度がよければいいわけで次に行ってみましょう!
機種 | アンテナ | SONY VAIO PCG-SR9/K [cm] |
AH-H407P | 出す(写真右) | 1.15 |
ちょっと出す(写真右から2番目) | 0.90 | |
隠す(写真左から2番目) | 0.00 | |
AH-G10 | −(写真左) | 2.40 | AH-H403C | 倒す | 1.70 |
取る(立てる) | 1.50 | |
AH-S405C | 倒す | 1.90 |
立てる | 1.60 | |
WLI-CF-S11G | − | 2.10 |
感度
測定は見晴らしのよい都内マンションの窓際にて早朝に行った.また,速度測定は@niftyにて128kパケット方式およびフレックスチェンジ方式のアクセスポイントを利用し,BNRスピードテストを3回行った平均値を算出した.電界強度の測定については,当サイトの電界強度評価を参照してください.それぞれ,AT@K20コマンドを10回行い,表示された基地局数および各基地局の上位3個の平均値をまとめた.今回はPCカードスロットへの電磁波の影響も含めて比較できるようにPCカードスロットに挿して比較した.
端末 | 電界強度 [dBμV] | AT@K20にて拾える基地局数(10回の平均値) [count] | AT@K20で拾える最低電界値(推測) [dBμV] | 速度 [kbps] | |||
CS No.1 | CS No.2 | CS No.3 | 128kパケット | フレックスチェンジ | |||
AH-H407P(きちんと出してアンテナ立てる) | 64.8(64-66) | 43.0(42-44) | 37.3(35-40) | 15.6(14-19) | 15 | 82.968(73.394-88.340) | 49.699(39.340-53.212) |
AH-H407P(ちょっと出してアンテナ立てる) | 63.0(62-65) | 39.6(39-40) | 36.1(33-39) | 14.9(14-16) | 76.777(64.368-88.104) | 35.431(23.719-53.212) | |
AH-H407P(アンテナ隠す) | 46.9(45-48) | 31.1(29-36) | 28.4(27-29) | 5.7(5-7) | 63.800(42.813-70.531) | 29.480(25.987-43.948) | |
AH-G10(アンテナ立てる) | 65.8(62-67) | 46.6(44-48) | 39.5(36-43) | 17.1(15-18) | 24 | − | − |
AH-G10(アンテナ倒す) | 63.3(61-64) | 42.9(41-45) | 38.9(37-41) | 11.0(10-14) | − | − |
アンテナをきちんと引っ張り出して立てた場合の感度の結果を見ると,AH-G10より多少悪いように見える.過去の結果などとも比較してみるとアンテナ捕捉の下限値などがAH-H403Cと同じ程度に設定されているようであることやアンテナ感度が近いことからAH-H403Cにおいてアンテナを立てた場合と同程度の感度を有するように感じられた.AH-G10はすでに契約していないため速度測定はできなかったが,感じとしては最高速度はAH-G10のほうがやや大きく出るが,移動時なども含め考えると下限値が小さく設定されているAH-H407Pのほうが通信を粘るため通信可能な状態が持続するのではないかと予測される.どちらにせよ,アンテナを立てた場合においてはAH-H403Cに酷似していると思われる.また,AH-H407Pにおいてアンテナをきっちり引っ張り出して立てる/とりあえずアンテナが立つ分だけ引っ張り出して立てる/完全にアンテナを倒して隠すのそれぞれの状態だと徐に感度が落ちる.特に,完全に隠した場合にはアンテナや電磁波の影響が大きく出ており,感度が大きく落ちる.利用する時はきちんと引っ張り出して利用したほうがいいだろう.しかし,フレックスチェンジ方式ってこんなに遅いんだっけ?もうちょっといいイメージがあっただけにちょっとゲンナリ(^^;
動作確認機種
基本的にはメーカが動作確認をしている機種での利用をおすすめしますし,ここに書いてあるからといって必ずしも使用可能を本サイトが保証するものではありませんのでご注意ください.といっても,PCカード端末なんでと思っていたのですが面白くないのでCTOPなるPCカードをCFカードに変換するジャケット(アイテム)を取り出しPDAなどにも使ってみたりしてみました.いや,ほら,256kパケット対応のPCカード端末が出たときのための予行演習ですよ(笑)!当然ながらSL-Zaurus/ZaurusはもちろんのことSigmarion2/3なんかでも使えましたよ!試してないけどSL-C760/860やSL-B500でも使えると思います.こういうのはCLIEあたりでやらないと面白みがないのかもしれません.CLIEは多少使えたり使えなかったりするんで(^^; 誰か試した人はお知らせください〜!CLIE VZ90あたりは使えそうだけどねぇ(笑)♪あっ!ポケットポストペットやるの忘れた(ぉ
機種 | 動作確認 |
SHARP Zaurus SL-C750 | ○ |
SHARP Zaurus SL-C700 | ○ |
NTT DoCoMo Sigmarion2 | ○ |
NTT DoCoMo Sigmarion3 | ○ |
SHARP Zaurus MI-E21 | ○ |
ATコマンド
毎度のことですが,普通の人には決していらない情報も書いておきます.ところで,今回これを書くために各AirH"カードを最新ファームにそれぞれしたんですけど,もしかして最新ファームでAT@KとかAT@@LVLとかできなくなってたりします?たまたまできなかったのかなぁ….なんかAH-H403CとかAH-H405CとかでやったらERRORを出してたんですけど(ToT) 京ぽんこと「AH-K3001V」でも単体での電界強度測定がファームVer.1.5になってから出来なくなったりしているのでもしや!とか思っているんですがどうなんでしょう?時間がなかったので深く追えてないんですが...
コマンド | 結果 | 説明 |
AT@K** | XXXXXXXXXXXX,34 | AT@Kでは電界強度とCSIDがそれぞれ3つ表示される.**の部分に数字をいれることで最大測定数を変えることができる.確認できていないが20個以上は一気に測定できるようである.はじめの12桁の数字は基地局IDで,次に表示されている数字が電界強度値である.これらの表示が捕まえられる基地局(アンテナ)の数に応じて20個まで表示できる. |
at@@lvl | 05 5 5 5 5 3 |
メンテナンスコマンドで,通信できる基地局を13個まですべて表示される(5段階のアンテナ強度つき).最初の行に捕まえられる基地局(アンテナ)の個数が表示され,次の行から一行ずつその捕まえたられるアンテナとの感度が5段階表示で表示されている. |
at@@lnk | 4 | 空いている基地局数を4個まで(0〜4)が表示される. |
ati1 | OK | 使えるかどうかが表示される. |
ati2 | PHS | モデムとしての種類が表示される. |
ati3 | HONDA ELECTRON | メーカーが表示される. |
ati4 | AH-H407P | 機種名が表示される. |
ati5 | v1.00.00 | ファームバージョンが表示される. |
ati6 | 070******** | 電話番号が表示される. |
まとめ
なんといっても「AH-H407P」の特徴はジャストPCカードサイズなところです.カードを挿しっぱなしにしておいても,持ち歩く時は出っ張りがないという代物なわけです.でっぱりがある他の端末は挿しっぱなしにして持ち歩くといろいろなところにぶつけたりしてカードだけでなく,PCカードスロット自体が壊れたりもしたりするわけです.実際,それが原因かわかりませんが,私のVAIOはPCカードスロットが2度も壊れてしまいました.なんとなく抜き差しのほうが原因のような気もしますが(^^; PCカード端末ということで,PDAなどと併用は基本的にはできませんが,なにより‘挿しっぱなし’がコンセプトな端末なのでそういうのもやりたくはないですよね!そういうわけで,PDAとの併用などを考えている人は,CFカード型を選びますし,バリバリなノートパソコンユーザーをターゲットにしているんでしょう.現状では,音声端末で128kパケット通信に対応しているものはありませんし,ノートパソコンで使うだけのユーザーにはいいのではないでしょうか?年度末あたりを予定している256kパケット通信対応のカード端末もどうせはじめは高価でしょうし,すでにAirH"を使っている人はわざわざ乗り換える必要性は皆無だと思いますが,これから利用しようかなとしている人はこれでいいのかなというところです.なにより,こういった細かいユーザーの要望をかなえたという点を評価したいと思います.