AIR-EDGE PHONEで使えるウェブ高速化まとめ

UPDATE 2005-02-13 23:43 JST
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 京ポン「AH-K3001V」について調べたり,すでに使っている場合にまず目に付くのが“もっさり”という言葉かもしれない.この“もっさり”という言葉は動作がのろいということを指しているが,そもそも京ポンは操作全般の動作が緩慢ではあるものの,ウェブ閲覧に関してはもうひとつ「通信速度が遅い」ということも大きな原因となっている.現状においてAIR-EDGE PHONEでは1x方式とよばれる最大速度32kbpsのパケット方式が通信として主となる.もちろん,定額コースでなくともいい場合には,「ネット25」というコースに加入すればフレックスチェンジ方式という64kbpsまで通信速度をあげられるが,この場合には通信時間による課金となるし,いろいろ不便な点がある.そこで32kbpsのままどうにかできないか?というものがこのページにまとめた「高速化サービス」となる.高速化サービスは,転送するデータを圧縮したり,無駄な情報をカットするなどしてケータイで見るのに最適な情報にすることで通信するデータの量を減らすことで“体感的な速度を向上させる”サービスである.データ(パケット)量を減らすということは,料金にも直結する.つなぎ放題コースであればパケット量を気にすることはないわけだが,これまでパケコミコースではちょっと無料パケット分が足りないというような人も高速化サービスを使えばパケコミの20万パケットに納まる可能性が出てくる.iモードでも“半パケ”などを謳ったサービスあるが,類似サービスである.また,もちろん,京ポン以外のAH-J3003SなどのAIR-EDGE PHONEなら同じく体感速度を向上させることができる.

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公式「高速化サービス」を利用する

 2005年2月2日(水)から社名をDDIポケットからWILLCOMに変更したのにあわせてAIR-EDGE PHONE向け「高速化サービス」が開始された.価格は月額315円(税込)だが,2/2(水)〜4/30(土)まではお試しキャンペーン期間として無料で利用できる.この高速化サービスは,通信プロトコルの最適化や画像ファイルの圧縮により体感速度を最大200%(2倍)まで向上させることが可能となる.この公式「高速サービス」の利点は,

となる.また,画像が圧縮されたものとなるため画質などが劣化して見難いものとなる場合もあるが,この場合もOperaのメニューから「更新」をすることで元の画像が表示されるのも便利である.ちなみに,体感速度2倍というのはあくまでテキストやほとんど圧縮できないようなコンテンツも含んだ平均値であり,例えば画像だけであれば数十倍となる場合も多い.このため,画像を用いた速度測定サイトを利用した場合には,非常に大きな数値となる.

使い方

 使い方は簡単に設定できるようになっており,AIR-EDGE PHONEのオンラインサインアップから設定する.AH-K3001VならOperaボタンを押し,オンラインサインアップを選択するとオンラインサインアップのページが開かれる.その中に「7. 高速化サービス」というものがあるので,選択(クリック)する.次に表示されたページにおいて「利用する」を選択し,「この内容で登録する」をクリックする.

[IMG] Operaメニュー [IMG] オンラインサインアップ [IMG] 高速化サービス設定

 これで設定完了となる.この状態でもう好きにどこかページを見るなり,Operaを終了するなりなにをしてもよいだろう.一応,設定が高速化サービスを利用する状態になっているかどうかを見るには,「現在の設定確認へ」に行くとページの下のほうに「高速化サービス 利用する」というのが確認できる.後述するが,「高速化サービス」を利用する状態にすると勝手に端末のダイアルアップ(接続)設定が書き換わる仕組みになっているようだ.セキュリティは万全だと思われるが,やや気持ち悪い感じもする.便利さとトレードオフといったところだろう.

[IMG] 高速化サービス設定完了 [IMG] 設定確認 [IMG] 高速化サービス説明

どの程度高速化される?

 実際に「高速化サービス」を利用してみるとそれなりに体感速度があがっていることがわかるだろう.試しにYahoo! JAPANのトップページをフルスクリーンモード(100%)で画像ありで表示してみたときの読み込み時間を比較してみた.それぞれキャッシュを空にしてから3回ずつ測定して平均値を算出した.

高速化サービス 読み込み時間 [s] 平均値 [s] 高速化率 [-]
1回目 2回目 3回目
利用しない 35.34 36.08 39.87 37.10 1.0
利用する 34.08 30.32 32.18 32.19 1.15

 高速化サービスを利用した場合には,大方5〜8秒ほどで表示がはじまり,32秒程度で完全に読み込みが終了した.高速化サービスを利用しない場合には,8秒ほどで表示が始まり,37秒程度で完全に読み込みが終了した.画像,特に高圧縮が期待できるJPEGファイルが少ないYahoo! JAPANなどはあまり高速化を体感できないようである.ただ,ウェブ上での評判などを見ていたり,自分で体感している限りはそれなりに体感速度があがっていることがわかるのでかなり高速化されているのではないかと思われる.

画像はどれくらい荒くなるのか?

 どの程度画像が圧縮されているのかを見てみよう.画像を圧縮して転送することは利点ばかりではなく,“画像が荒くなる”という欠点もある.場合によっては,高速化サービスなどを利用することで使いものにならない画像も存在する.bitWarpPDAのときにも言われていたのはtenki.jpなどの画像の色がおかしいため情報として使えない状態になるというものである.tenki.jpについてはAIR-EDGE PHONE向けの高速化サービスでもbitWarpPDAと同様にかなり使えない状態となるようだ.livedoorコンピュータにてメガプラスの評価を行ったときのファイルを同様にしてAIR-EDGE PHONE 高速化サービスでもどの程度画像ファイルが圧縮されるのか試してみた.それによるとメガプラスの高速と中速の間程度となるようだ.さらに,bitWarp PDAのレビューのときと同じファイルで試してみた結果,違う圧縮率であり,AIR-EDGE PHONE向けの高速化サービスのほうがより圧縮率が高かった.ただし,現在のbitWarp PDAの圧縮サービスが変更されている可能性もある.

高速化の方法 転送量(ファイルサイズ) [byte]
GIF JPEG PNG ページ全体
AIR-EDGE PHONE 高速化サービス 5054 20191 3961
圧縮なし 12388 100587 3961 450528
メガプラス (Ver.3.1.2) 最高速 936 6893 3961 77229
高速 3886 10628 3961 110230
中速 8430 29073 3961 182444
低速 10342 49568 3961 434177

画像を表示しなくても高速化&パケット削減!!!

 さらに高速化サービスは画像を表示しない場合においてもHTMLなどのテキストファイルもgzip圧縮されて転送される.このため画像を表示しない場合でも体感速度が向上されるし,パケット量の削減に役立つことになる.これにはページの情報をみるとどの程度圧縮されているかわかる.なぜかOperaでの「メニュー→ページ情報→URL表示」を見ると圧縮されたときのファイルサイズが表示される.このページを保存すると元のファイルサイズが表示されるのでそれらについて,以下にいくつかのサイトの圧縮前と圧縮後のファイルサイズをまとめた.

サイト名 高速化サービス 圧縮率
なし あり
memn0ck.com 20778byte 8890byte 0.43
ITmedia Mobile 72764byte 23143byte 0.32
ケータイ Watch 92112byte 20981byte 0.23

高速化サービスの設定をCLUB AIR-EDGEとは別に作る

 さて,便利な高速化サービスだが,IPアドレスの問題などから見れない,もしくはケータイサイトではなくパソコン向けのページが表示されてしまう場合がある.そういう場合を回避するために高速化サービスを利用しない設定と利用する設定の両方をダイアルアップ(接続)設定として用意しておくことも可能である.こうすることで,高速化サービスの利用/非利用をオンラインサインアップにいちいち接続しなくても端末側の設定で買えることができる.具体的には,まず一度高速化サービスを利用し,その後,高速化サービスを利用しない状態にしておく.そうするとモード3に「CLUB AIR-EDGE」の設定ができる.そこでモード1に以下のように設定するとモード1が「高速化サービス」を利用する設定となり,モード3が利用しない設定となるわけだ.これにより,「Operaボタン→8) 設定→5) 通信設定→2) 接続モード切替→1) 使用モード」と接続設定を変えるだけでいいことになる.

接続先名称 高速化サービス(なんでもよい)
電話番号 0570570092##61
ユーザーID clubh
パスワード ユーザーIDと同じ

その他のサービスを利用する

 公式サービス以外にも多くの高速化サービスがあるので,主なものだけ簡単に紹介しておこう.簡単に利用できるのは「銀河フィルタ」や「味ぽん串」,「切り抜きくん」といったCGIを使ったゲートウェイサービスだろう.特に,自分でサーバーやらの設定・設置をしなくても利用可能となっている.また,京ポン向けの画像圧縮プロキシアプリとして開発されてきた「airproxy」やDelegateを利用したプロキシ「AH-K3001V用 データ圧縮プロキシ(評価版)「ah.fo.gs」」などは高速化サーバーが公開されているので,利用することが可能となっている.この他にもJENS SpinNetでは,ISPが独自に@FreeDやAIR-EDGE向けに高速化サービスを行っている.これらはプロキシの設定をすることで利用することとなる.

airproxy

 airproxyは,Javaで作られていることからクロスプラットフォームで多くの環境で動作する画像やテキストデータを圧縮転送できるプロキシを構築できるアプリケーションである.「airproxy のページ」で配布されており,「Air proxy導入入門」などにWindowsでの設置方法がまとめられている.現在はオープンソース化され,プラグインによってHTMLの切り抜きなどにも対応している.設置が難しいと思う人で試してみたい人は作者の方がairproxyを使った圧縮プロキシを公開されているので試してみるといいだろう.

銀河フィルタ

 銀河フィルタは,公式高速化サービスとは違いCGIによるゲートウェイとして機能し,主にテキストデータを圧縮転送するものとなる.CGIであるため特に端末側での設定が不要だという利点がある.古くからのH"ユーザーにはおなじみの銀河やメール銀河などを提供して下さっているゆきさんによるサービスされている.使い方などは「銀河フィルタ」にて公開されている.同様のサービスとしては「味ぽん串」などもある.

切り抜きくん

 切り抜きくんは,HTMLの一部分を切り抜くことができるウェブアプリケーションである.切り抜きのほかにも,無視するHTMLタグを設定できたりもする.「簡易プロキシ「切り出しくん」」にて公開されている.切り出しくんの一例もあるのでどんなものかわかるだろう.これにより絶対的なHTML(テキスト)のデータ量を減らすことができるためパケット量を抑えられるし,ページによってはかなりデータ量を減らせるので表示も早くなると思われる.また,無駄なテーブルタグなどによる装飾を削除したりもできるのでレンダリンング的には高速に表示可能となる場合もある.airproxyのプラグインと同じような機能となる.ただし,airproxyのプラグインも公開サーバとなれば同様だが,広告などもカットできてしまうためややグレーなサービスとなるのかもしれない.試しにいくつかのサイトで試してみた結果を以下に示す.

項目 memn0ck.com ITmedia Mobile ケータイ Watch
切り抜き はじめ <!-- PiloWeb_Begin --> 最終更新時間 <!-- 中央ペイン -->
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切出後 14.2kB 15.3kB 21.2kB

 大手のニュースサイトなどではかなりテキストファイル自体を小さくできることがわかる.また,なによりテーブルなどによる段組におけるサイドバーをカットできるため見たいと思われるコンテンツにすぐに到達できるのが便利だと思う.airproxyのプラグインとは違い手軽に利用できるのも嬉しいところだろう.ただし,さらにリンクを辿ったりして各記事を見た場合には,設定が継続するわけではないため,通常のサイドバーなどがある状態が表示されてしまうのはやや残念に思う.この点は,airproxyのプラグインなどのほうが高機能といえるのだろう.

まとめ

 どれがどうという評価はあまりしないが,公式サービスは試してみる価値はあるだろう.特に,2005年4月末までの無料期間に試して,有料の価値があるかどうか判断しておくことは重要だと思われる.有料化後は1回でも使ったら月額分の料金を取られるため,有料化後にちょっと試してみたいと思って1回でも接続したら一月分全額支払わなければならなくなる.もちろん,月315円だが,その後あまり効果がないと思い,使わないとしてもその額を支払わなければならないのは悲しいものがある.また,自分でairproxyやdelegateなどを設置できるのであればそれに越したことはない.基本的に安定度などは接続数に大きく依存するため自分用の高速化サーバーを設置できるならそれが一番安定して運用できる可能性が高い.また,体感速度向上度も恐らく自分で設置したもののほうが高いと思われる.圧縮率なども自由に設定できるため有用だろう.