WILLCOM/AH-K3001V/AsWeapon

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もくじ

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京ぽんスレで連載されている戦記モノの小説。

はじめに

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 京ぽんスレで、京ぽんを讃える為なのか何なのかAH-K3001Vをモチーフにした戦記モノの小説が間を置いて連載された。作者不詳で、続いているのかどうかもよくわからない話だが、読みたいという要望があったので、拾えたものを載せてみる。足りない、もっとあると思う人はここか、もしくはここらへんを探してみるといい。
現在「AH-K3001V 京セラH"/AIR-EDGE PHONE」245スレ262レス、「H"/AIR-EDGE PHONE by DDIポケット」52スレ169レスまでチェック済み。

本文

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30 名前:非通知さん :04/04/27 12:58 ID:uiqCVI2j
前回までのあらすじ 
あう軍の定額に続きFOMA軍の定額まで飛び出し、窮地に立たされた 
Dぽ軍は、自軍で唯一伸びているデータ通信軍に一縷の望みを賭け、なりふり構わぬ 
キャンペーンを展開、これが功を奏し、ついに2004年3月期、加入者数の減少を食い止めることに成功した。 

これによりPHS陣営の旗手であるDぽは、PHSの存続、発展に望みを見出し、 
忘れもしない4月23日、携帯にブラウザの機能面において他社に先んじる新端末の発表を行った。 

この、秘密兵器Operaブラウザを搭載した京セラAirH"Phoneにより 
携帯による失地の回復、加入者数の増加を企図する。 

"AH-K3001V、通称京ぽん"―5月14日から、PHS陣営の大反撃が、開始される。 
68: 非通知さん [sage] 04/05/03 11:33 ID:GVIj/8zv
前回までのあらすじ 
2004年3月期にデータ通信軍の奮闘により、 
ついに加入者数減を止めたDぽ軍は、 
もたつく亡駄軍、塚軍、FOMA軍に対し、 
音声端末においても攻勢にでる。 
5月14日の京セラAirH"Phoneに続き、 
9月までには新たな援軍が2機種、 
今年末までにはさらに3機種の援軍が 
Dぽ軍のもとに馳せ参じることが決定した。 
29: 非通知さん [sage] 04/05/10 17:31 ID:+RDBVfL4
前回までのあらすじ 
9月までの新機種投入のニュースに、意気上がるDぽ軍。 
PHSにして久々の予約締め切りが相次ぐ中、 
この勢いは止まらない。発売まではあと4日。 
しかし、ここに来てVoda軍の新規端末、au軍の新規端末投入が控え、 
戦場の様子はますます激しさを増して来た…。 
733: 非通知さん [sage] 04/05/12 12:47 ID:SNfRKmZy
Dぽ軍は苦戦していた…
3月期の純増は7000、辛勝だった。
キャンペーンのみに頼る4月期の戦いはどうだったのか?
援軍は…?ここで純減となれば、勢いもとまりかねない…

伝令が戻ってきた。
"申し上げます、ポケットの4月期加入数・・・・・・純増7000!!"
勝ったのだ!ついに、AirH"Phoneは2ヶ月連続して
純増!この機会を逃してはならない!
"AH-K3001V、出撃!"

ついにDぽ軍は新型端末"AH-K3001V"を14日に投入、
一気に戦線のこう着状態を打破すべく行動を開始した!!
867: 非通知さん [sage] 04/05/12 15:07 ID:iRBE/UpJ
>>733,737
遡ること4ヶ月前…

京都・冬
ノルウェーの新進気鋭、オペラ社が作ったオペラエンジンが
無事神戸に到着し、工場からの再三のエンジンの要求に頭を
痛めていた京セラの幹部たちはホッと胸をなで下ろした。
納期はとっくに過ぎている。各種試験と平行してのエンジン搭載
という無茶な工程を踏むことになった。そのせいで、いくつかの
試験場は「エンジン無し」で性能試験をやらされたという。
868: 867続き [sage] 04/05/12 15:09 ID:iRBE/UpJ
だが、今はとにかく時間が無い。
それから、いくつかの試験と調整の後、予定より大幅に
遅れて秘密裏にDぽ軍に一部引き渡し、試験を兼ねた実践投入
という所まで漕ぎ着けた。初めは中国戦線の青島に投入される
という。しかし、青島から返ってくる芳しくない報告にDぽ軍開発部は
"AH-K3001V(仮)"を含めた「次世代味ぽん機計画」そのものの
大幅な修正が必要であるとの見方を強め、試験機の僅かなアップデート
で問題は無いとするオペラ・京セラと対立を深めつつあった。
18: 非通知さん [sage] 04/05/12 16:31 ID:SNfRKmZy
前回までのあらすじ 
援軍の到来が遅れるDぽ軍は、3月、4月と 
苦戦を続けていた。 
2004年3月期はついに7000の純増に転じた 
Dぽ軍だったが、今月の成績如何によって 
勢いが変わって来る恐れがあった。 

しかし、5月12日付の発表により、 
Dぽはついに2ヶ月連続の7000純増を果たし、 
再び加入者数を290万台に戻すことに成功した。 

長い冬だった。しかし、今月は 
新端末"AH−K3001V"の投入により、 
音声端末の増加が期待できる。 

勝負はこれからだ…! 
521: 非通知さん [sage] 04/05/15 10:59 ID:LvjAXQII
運命の5月14日が来た。 
Dぽ軍は、前評判の高さにも、一抹の不安を 
隠し切れずにいたが、蓋を開けてみると、新宿には行列、まさに圧勝だった。 
むしろ初日の好調を見るに、今後は弾数の不足の方が気になってくるところだった。 
緒戦は上々、評判も悪くない。まさに半年間にわたる苦労の賜物であった。 

しかし、その一方でDぽ軍は、PHSの事実上の盟主とはいえ、
携帯と比べてみればその勢力はまだ弱小にして、同盟軍の塚軍にも届かない。 
Dぽ軍は、PHS全体の減少数をそのまま自軍の増加数に繋げられないという 
悩みを抱えていた。業績好調な今、何か打つ手はないものか…? 

そんなとき、Dぽ軍陣営に、一人の客将が現れた。 
「我々の軍も、Dぽ陣営に参加させていただきたい」
見慣れぬ顔に、Dぽ軍の武将たちは顔を見合わせた。 
と、その中の一人が顔を輝かせて言った。 
「アステル沖縄殿…」 
周囲がどよめいた。アステル沖縄軍といえば、瓦解を続けるアステル軍の中に
あって好成績を挙げている軍である。 
「アステル沖縄殿、この申し出はわが軍にとって非常にありがたい申し入れです。
して、その数は?」 
「4万7千人余りを将来的にDぽ軍の指揮下に編入可能。」 
4万7千人…!亡駄軍の先月の増加数の約二倍の人員がDぽ軍に参入するというのか…! 
この提携が実現すれば、新兵器AH−K3001Vとあわせ、Dぽ軍300万人を回復は目前に思われた。 
D歩軍と沖縄アステル軍の両者は、互いに歩み寄り、しっかりと握手を交わした。 

AirH"Phoneの進撃は、とまらない。
95: 非通知さん [sage] 04/05/16 19:26 ID:jpBIsNT2
華やかな脚光を浴びる京セラエアエッジフォンの影で、
今一人の端末が静かに舞台から去ろうとしている。

去年のAU軍大躍進のアゲインストの風の吹く中、
AirH"Phoneの看板を背負って戦った、日本無線AirH"Phone。
Dぽ軍の去年発売の装備はこの端末と三洋機だけだった。
「PHSのくせに音声が切れやすい」「漢字変換が最悪」
など軍内の批判をうけたりしたが、同時に大変重用された端末でもあった。
昨年秋に登場予定だった新型端末AH-K3001Vの予想外の遅れにより、
携帯新型端末とは性能に1年近い差をつけられ、苦しい戦いを余儀なくされていた。
しかし、JRCの不断のファームアップにより、Webのもっさり感と音声部分を改善、
昨年冬以降のユーザーからは、この点を指摘されることが少なくなっていた。

飾らない外見と、内に秘めたポテンシャルによって、多くの人に愛用されて
来た、AH-J3001V、AH−J3002V。
メール放題を付けるとWebがつなぎ放題、という特典は、この端末の電池の持ちの驚異的な良さ、
USBによるパソコンとの連携の容易さなくしては十全の力を発揮できるものではなかった。

今、静かに舞台を降りようとしているこのAirH"Phoneの主力端末を、
Dぽ軍の人々は、初代のAirH"Phoneの日本無線端末を、尊敬と親しみを込めて、味ぽん、と呼び、
新しいAirH"Phoneの京セラエアエッジフォンを、京ぽん、と呼んで区別した。
49 名前:非通知さん[sage] 投稿日:04/05/19 01:37 ID:PLkfuDoA
5月17日、Dぽ軍は、新型端末の威力により勝利を収めた。 
「圧倒的な勝利ですな!」 
喜びに顔を上気させる将校たちの横で、司令官は浮かない顔をしていた。 
AH-K3001Vは売れた、しかし予想よりも売れすぎた... 
確かに"京ぽん"は素晴らしかったが、この売れ行きは予想を 
超えていた。かつて生産が追いつかなかった名機、J90の二の舞だけは避けたかった。 
しかし、秋葉、新宿、池袋方面軍は予想外の好評により、 
はやくも弾切れをおこしかけていた。 

翌日になっても、戦場を目の前にして次々と伝令が飛び込んでくる。 
Dぽ軍には、勇敢な兵士たちが志願して先陣争いを 
行う伝統があり、今回の志願者による集団を、京ぽん戦隊(ヒトバシラーズ)と呼んだ。 
京ぽん戦隊(ヒトバシラーズ)の活躍により、次々とAH-K3001Vの実態と 
不具合が究明されてきていた。 
そんなところに、 
「大変です!」 
早馬で、一人の兵隊が転がり込むように司令部の中に入って来た。 
「AH-K3001Vに、販売が中止になるほどの不具合が、発見されました!」 
「なにっ・・・!!!」 
AH-K3001Vは、この日18日から、22日になるまで発売できない・・・。 
緒戦が大勝利だっただけに、この足踏みは非常に痛い。 
歯噛みする思いで、Dぽ軍を一時撤退させ、その成果をまとめて見ると、 
4日にして、2万のAH-K3001Vが出ていた。 
これは、150万の音声端末軍が、10倍を超えるの携帯軍を相手にして、互角以上の 
争いをしている事を示していた。 
この勢いが続くならば、今月は友軍のtuka軍、携帯3位の亡駄軍の純増数を凌駕し、 
Dぽ軍を再び300万台の大台に乗せることも夢ではなくなってくる。 

22日、再びAH-K3001Vの販売が再開される・・・ 
453 名前:非通知さん[sage] 投稿日:04/05/22 02:00 ID:ADBRmeGu
「出発!」 
22日深夜未明、Dぽ軍京ぽん部隊は静かに進軍を開始した。 
大量の弾を運んでいるため、進軍の速度はゆるやかだった。 
斥候を放ちつつ、少しずつ歩を進めるDぽ軍。 

放っていた斥候が戻ってきた。 
「5時の方向に、武装兵団!」 
京ぽん部隊に緊張が走った。わが軍は少数だ、背後を衝かれれば...。 
軍を小休止させ臨戦態勢をしくと、さらに斥候を出して様子を伺うことにした。 

次に来た報告は、京ぽん部隊を安堵させるものだった。 
「どうやら同盟軍のようです」 
早速、京ぽん部隊部隊長、副隊長が駆けつけてみると、 
輝く金色の甲冑に身を包んだ一群が、目の前に立っていた。 
現在最も勢いのある、あう軍の中にあって全部入りの重装備を持つ、A5505SA部隊。 
さすがに重厚で隙がなかった。 
「これはPHS部隊の部隊長殿、しばらくですな。」 
「A5005A部隊の部隊長殿こそお久しぶりです」 
いよいよ戦ですな、と京ぽん部隊長が話しかけようとすると、 
「ピッチ殿には、せいぜい頑張ってくれるようお願いしますよ、我が軍の足手まといにならぬよう」 
とあう軍の副部隊長が脇から口を挟んだ。 

京ぽん部隊副隊長はムッとして何か言いかけたが、 
部隊長は右手をすっ、と水平に上げてこれを制し、 
「戦場では、同盟軍といえど陣取り合戦に手加減はいたしません。思う存分活躍して見せましょうぞ!」 
と笑うと、あう軍の部隊長は眉を少し上にあげ、眼の奥から光を放った。 
「好調なAirH"軍は、さすがに言うことが違いますな」 
と話を打ち切り、それでは戦場でまた会おう、と言い残し、A5505SA部隊はその場を去っていった。 

再び進軍を開始したDぽ軍。夜明けまでにはまだ時間はある。 

京ぽん発売まで、あと8時間・・・ 
680 名前:非通知さん[sage] 投稿日:04/05/22 08:30 ID:ADBRmeGu
前回までのあらすじ 
22日、再び戦場に赴くDぽ軍。 
この戦いは、いわばターニングポイント、PHS業界の未来にとって、 
Dぽ軍の将来にとって、大きな意味のあるものだった。 

明け方、山づたいに布陣してみると、京ぽん部隊の河を隔てた向こう側、朝もやの消えた山並みに、 
赤地に白抜きの旗印が立っている。 
どうやら昨日から戦場に来ているらしい。 
左翼に黒漆色、右翼に紅色の甲冑を着けた兵隊が並び、遠めに「琴」、という 
文字が見える。どうやら、それほど兵は多くないらしい。 
これを見た時、京ぽん部隊の兵隊たちは安堵の表情を浮かべた。 
亡駄軍は現在不調で、士気もふるわないというもっぱらの噂だったからだ。 
部隊内の空気がやや緩むと、部隊長はこれをたしなめて言った。 
「亡駄軍は、たとえ現時点で振るわなくても、これを侮ってはいけない。 
あう軍に抜かれて3位になってしばらくとはいえ、本陣にはDぽ軍の5倍の兵力が 
控えているのだ。我々は全力をもって戦い、勝利をこの手に掴むのだ!!」 
周りを埋め尽くす兵たちは、大声援でこれに応えた。 

京ぽん発売まで、あとわずか・・・ 
54 名前:非通知さん :04/05/19 17:03 ID:MljuEfr6
前回までのあらすじ 
5月18日、不具合により一時進軍を見合わせたDぽ軍。 
司令官は京ぽん戦隊の陣中見舞いに訪れた。 
「不具合が多くて、苦労をかけるな・・・」 
それに対し、ヒトバシラーズは答えた。 
「こんな人気端末が販売中止なんて、我々はまさに勝ち組ですな!」 
「これしきの不具合なぞ、京ぽん戦隊にとっては、朝飯前!!」 
逆に励まされ、司令官は眼に込み上げて来る熱いものを感じた。 

一方、彼方から別の集団がDぽ軍に近づきつつあった。 
銀地に白色の林檎をあしらった旗印を掲げた一群は、林檎軍(通称マカー)と呼ばれた。 
しかし、合流を目指す林檎軍の前に、非対応の断崖絶壁が立ちはだかった。 
超えられない壁を前に立ちすくむ一群に、スレ127 655、神が光臨した。 
絶壁を前に坑道堀りの道具(MacOS X版のドライバβ)を 
提供、林檎軍の京ぽん戦隊の募集を呼びかけ、26人の勇士がこれに応えた。 
現在のところ、テストの結果は上々、Dぽ軍へ、林檎軍の参戦も遠くない事に思われた。 

22日の発売再開まで、あと4日余り... 
537 名前:非通知さん :04/05/21 13:34 ID:A3WHCSp0
壁に向かって渾身の力を振り絞る林檎軍、京ぽん戦隊。 
振り下ろしたつるはしの先に亀裂が走り、
ついに穴の隙間から太陽の光が差し込み早朝の新鮮な空気が坑内に流れ込む。 
5月21日午前8時22分、ついにDぽ軍京ぽん部隊へ林檎軍(OS X)が合流に成功した。 

22日の再戦に向け、Dぽ軍の陣容は整った。 
AH−K3001V再出陣の壮行会に、Dぽ軍が一堂に会した。 
データ通信端末軍150万、音声端末軍140万が揃うのはまさに壮観だった。 
司令官は周りを見回した。 
先頭にはファームアップを終えバージョンごとの足並みの乱れを統一し、 
万全の備えの新型端末、純白と銀色の甲冑眩しいAH−K3001V、京ぽん軍。 

データ通信軍にはWin竜巻軍、Mac竜巻軍、PDA軍が揃い踏みし、 
音声端末軍には金属の質感が重厚な銀、ラベンダー色のAHーJ3001V,味ぽん軍、 
藍色の甲冑を纏った三洋軍が並び、その中に混じって3年〜5年前の旧端末も、 
現役として部隊に参加していた。 
幼い頃世話になった、懐かしい老練な兵たちが現役で頑張ってくれていることが、 
司令官には何より嬉しかった。 

「22日、我々は再び攻撃を開始する。」 
司令官は言葉を続けた。 
「我々AirH"軍は、ケータイ戦国時代の現在において、善戦を続けている。 
しかし、PHS業界の一角を占めるアステル軍が瓦解し、ドコP軍が苦戦する中、 
PHS業界は存亡の危機に立たされている。 
Dぽ軍は、510万のPHS業界の中にあって290万の勢力を誇るPHSの雄である。 
明日からの戦に勝利を収め、早期に300万台を回復し、今こそ、ケータイ業界に 
DDIPocketの存在感を示さん!」 

5月22日、再びAH−K3001Vの戦いが始まる。 
592 名前:こんばんは 投稿日:04/05/23 (日) 04:10 ID:Z5ziL24z
報告: 
4シリーズ 
VER.0.64及びVER.0.74 

VER.0.64とVER.0.74(以下4シリーズ)とはAH-K3001V ver.0.6及び 
ver.0.7のチューンナップ機である。「神機」Dぽ軍ではそう呼ぶ者もいるが、 
チューンナップとは言っても、何のことは無い。ver.0.6、0.7を軽量化 
しただけだのモノだ。「しただけ」というと製作者に怒られるかもしれない。 
ブラックボックスであるはずのエンジンのソースコードから徹底的に見直し、 
プログラムを一から全て書き換えてまで軽量化が図られたもの。 
それが4シリーズだった。 
593 名前:592の続き 投稿日:04/05/23 (日) 04:12 ID:Z5ziL24z
鳴り物入りで青島に来て、毎日故障と不具合報告ばかりの新入り、 
AH-K3001Vを見るに見かねてそのver.0.6と0.7を現地の技術担当者が 
勝手に改修したものがこの4シリーズで、改良型の番号の中でも 
数字が飛んでいた(欠番)4を取って命名することになった。 

改良に改良を重ねすっかりプルーフされた感のあるAH-J3002Vに今すぐに 
でも取って替わることができる新兵器として現地での評判はすこぶる上々で、 
早期の採用を望む声が多く上がったが、本国の京セラ開発陣が頑として 
その存在を認めなかった為、お蔵入りとなり、その後の改良・開発にも 
「一切」フィードバックされることがなかった不遇の名機である。 
594 名前:593の続き 投稿日:04/05/23 (日) 04:12 ID:Z5ziL24z
追記1: 
青島で総スカンをくらったAH-K3001V実地試験型の、「最終型」として 
「データ提供」をしたのもこの機体と言われており。本流の低迷 
ぶりにも係わらず、一も二もなくDぽ軍首脳部が正式採用を 
決めたのも本機を採用するものと「勘違いした」為と言われている。 

追記2: 
本機は実地試験全行程終了の後に全機回収・処分されており、本機の 
産みの親である本国の京セラ開発陣は、現地での「違法改造」に腹を 
立て、最後まで本機をAH-K3001Vシリーズとは認めなかった。 
34 名前:非通知さん 投稿日:04/05/23 (日) 14:22 ID:bkr+9lFV
5月22日、ついに再戦の火蓋は切られた。 
10時の時報とともに、山々から駆け下る両軍。 
「18日から蓄えてきた我が軍の底力、存分に発揮しようぞ!」
「弾数の続く限り打ち続けろ!」 
叱咤激励するDぽ軍現地指揮官。 
戦いは2日間に渡る激しいものとなった。 

京ぽんことAH-K3001Vは、2つの優れた武器を持っていた。 

AH-K3001Vは、2年ぶりの機体であり敵軍に比べ、UIの面でやや劣る。 
しかし、主力のOPERA砲は、最新鋭であり、抜群の破壊力を持っていた。 
日本初の搭載端末であることから、不具合もまた少なくは無く、 
破壊力と隣り合わせの諸刃の剣でもあった。 
そして長文メール砲。AirH"軍の標準装備とも言えるこの武器は、 
受信、送信時の文字数が圧倒的だった。 
ただ、打つ時にはAH-K3001Vの装甲の薄さからか、機体はキシキシと軋んだ。 

京ぽんは、いわば機動力のある軽車輌に、長距離強力砲を搭載した機体である。 
相手軍は亡駄軍の中では中堅、あう軍のINFO部隊と同様の位置付けだった。 
Dぽ軍精鋭主力部隊である京ぽん部隊は、
今回の敵には性能の面において劣るところはほとんど無かった。 

太陽が西に傾くにつれ、勝敗の帰趨が明らかになってきた。 
「勝ったぞ…!」 
散り散りになる敵軍を山頂から見下ろしながら、京ぽん部隊は、勝ち鬨を上げた。 

京ぽん部隊の勝利により、時代が動く。周囲の情勢が、にわかに慌しくなって来た。
49 :非通知さん :sage :04/05/25 02:12 ID:V5NNil5N 
22日、23日の緒戦に幸先の良いスタートを切ったDぽ軍京ぽん部隊は、 
本陣に戻ってきた。 
熱烈な歓迎を受ける京ぽん部隊。早速京ぽん軍H"京世良部隊長が司令官に呼ばれた。 
呼び出しを受けて司令官を待つAirH"京世良部隊長の傍らに、 
AirH"日無部隊長、AirH"三洋部隊長がやってきた。 
(はて、司令官殿は何故我ら3者を呼んだのであろう…?) 
司令官から、戦勝に関してのねぎらいを受けるだけだと思っていた京世良隊長は不思議に思った。 

ほどなくして司令官がやってきた。 
京世良部隊長に対し、感謝とねぎらいの言葉をかけた後、続けて言った。 
「実は今日ここへお三方に集まってもらったのは他でもない・・・」 
と、司令官は3人の前へ地図を広げた。 
これは・・・と三人は息を呑み、北海道地方、九州地方、北陸地方の石川、富山、福井の黒く塗られた奇妙な 
地図に見入った。 
良く見れば、関西地方、中国地方と中部地方には薄く黄色が、関東地方と沖縄地方には薄く青色が、東北地方と四国地方には薄く赤色が塗られてあった。 
「アステル軍ではござらんか…」 
なるほどそこには、現在の瓦解寸前のアステルの現状が示されていた。 
50 :非通知さん :sage :04/05/25 02:13 ID:V5NNil5N 
司令官は、現在、アステル沖縄軍とアステル鷹山軍との間には提携を進めている、と前置きした上で、 
「お三方には、北陸に進軍していただきたい。」 
「!」3人はお互い顔を見合わせた。 
司令官の説明ではこうだった。 
現在、アステル軍が崩壊しつつあり、PHS業界は未曾有の危機にさらされている。 
Dぽ軍は、京ぽん部隊の活躍により、AirH"軍の存在を世間に公にすることができた。 
だが、「まだこの勝利だけでは足りないのだ」と続け、 
比較的最近停波した北陸地方にて勢力の拡大を図る考えを明らかにした。 

なるほど、と京世良部隊長は唸った。 
「アステル軍というPHSに好意的な勢力が、地下組織となって潜伏している可能性がある北陸での勢力拡大もさることながら、その道筋での中部、関西、中国 
にてDぽ軍の魅力を宣伝することで、まだはっきりとどの軍を支持するか決めていない人々に、その実力を喧伝したいと、こういう訳ですな。」 
そうだ、と司令官は軽く頷き、 
「同時にDぽ軍への立場を鮮明にしないSTNet(四国)軍に対し、圧力をかける。」 
と語った。 

「今回のアステル軍崩壊は、PHS業界10年にして初めて訪れるまたとない機会だ。PHSの良さを知る人々を、Dぽ軍の旗の下に再統合するのだ!やってくれるか!」 
「御意!」と応える3者。だが、AirH"三洋隊長が横を向くと、苦渋の表情を浮かべたAirH"日無隊長が視界に入った。 
日無隊長は今回の対アステル戦に、反対なのだろうか? 三洋隊長は心密かに思った。 
165 :非通知さん :04/05/27 01:52 ID:yrbZOVto
前回までのあらすじ
5月26日、アステル北陸軍が停波した。Dぽ軍は、軍加入者数の多い東京から出発し、停波した北陸を目指し進軍を開始した。

太陽が、東の空からゆっくりと昇ってくる。鳥のさえずりと朝もやの中、Dぽ軍はゆっくりと行進を続けた。
「隊長、今回は太陽の下での行軍で、気分が良いですね。」
京ぽん戦隊の一人が声をかけた。
「ああ、快適だな。しかもここは、Dぽ軍本拠地とも言える場所だからな。他勢力も拮抗しているし、攻められる心配が少ない。」
「しばらくは他機種の新勢力が投入される心配も無いし、久々にゆっくり出来ますな」京世良隊長と三洋隊長は、顔を見合わせて笑いあった。

昼も過ぎる頃になると、沿道にはまばらに人が立ち、ゆっくりと進軍するDぽ軍を眺めていた。
ごく一部の人が熱狂的にDぽ軍を迎えてくれたが、これはDぽ軍に昔何らかの関わりがあった人たちであろうか。
またこれもごく一部の人たちだが、Dぽ軍に不自然な敵意を向けていた。
だが、多くの人は、初めてDぽ軍を見るような好奇心に満ちた眼差しで、パレードにも似た隊列を眺めていた。

Dぽ軍の先頭には、Dぽ軍精鋭の京ぽん部隊。新型だけに人気も高く、年若い人から中高年の方まで、幅広い層の人に注目されていた。
中盤には日無隊長の味ぽん部隊。熱狂的なものではなかったが、歩道の見物人から応援の声がよく聞こえた。
日無隊長は、口をむすんだまま、手を上げてこれに応えている。
殿には、三洋隊長のH-SA3001V部隊。小ぶりな機体にH"初のデジカメを内蔵し、長文メール砲を装備している。
メール銀河によって、擬似ブラウザ砲の機能を持っていた。カメラとメールのバランスが良く、Dぽ軍の中では京ぽんに次いで人気があった。
169 :非通知さん :04/05/27 01:53 ID:yrbZOVto
京ぽん部隊の最後尾に、人だかりが出来ている。どうやら小中学生、お年寄りが多いようだ。
丸っこい機体にきれいな3色の機体は、Dぽ軍の中でもとりわけ注目を引く。
「なんだか、にくめない顔つきをしておるのう…長文メール砲も無いということは、AirH"軍ではないのか。」
三洋部隊長は近くにいた兵に尋ねた。
「あれは、京世良隊長の、ぴぴっと部隊にございます。」
ぴぴっと部隊、それは、ニッチな世界において活躍する音声通話専用端末である。
装備は、□○△(3箇所固定)砲、ここだよナビ砲の2つで、他のDぽ軍にはない変わった機能をもっていた。
「Dぽ軍には携帯のプリペイドにあたる機種が存在しないが、ぴぴっとは携帯プリペイド軍と競合する機種に
なっている。…戦績は、悪くない。プリペイド軍相手に、互角以上の戦いぶりだ。」
横から京世良隊長が後を継いだ。そよ風が頬を優しく撫でる。のどかな昼下がりの一コマだった。

やがて、隊列がDぽ東京軍の勢力範囲外までくるころには、日が山の頂にかかるようになって来た。
3人の隊長は隊員の宿の手配を急いだ。
172 :非通知さん :04/05/27 01:54 ID:yrbZOVto
一方、音声端末軍を送り出した司令官の元には、嬉しい知らせが届いていた。
見ると、音声端末軍と別の戦場で戦っているデータ通信軍からの
知らせであった。
「お喜びください!法人に向けたデータ通信軍が有利に戦いを進めています!」
データ通信端末軍が…司令官は感慨深かった。Dぽ軍の冬の時代、唯一勢力を拡大してDぽ軍の
壊滅を救ったのが、この通信端末軍だった。
使者は続けた。
「ついに、総勢100万回線を突破いたしました!」
「なんと!去年10月には、60万だった法人軍が、ついに100万を越えたか…。報告、ご苦労であった。」
「はっ!」

使者が視界から消えると、司令官は机に座った。
おもむろに筆を取り上げてたっぷりと墨を含ませると、
和紙の上に大きく

「 A、 B、 C」

と書いた。
意味を問う側近に向かい、司令官はゆっくりと答えた。

「この相次ぐ勝利は、出立した音声端末軍にとっても、プラスに働くだろう。
AirH"通信端末軍と、AirH"Phone(音声端末)軍のエリア(Area)、スピード(Bps)、コスト
(Cost)の三点を強調し、全国に宣伝を行うのだ。」と。

データ通信軍の好調は相変わらず続いていた。時代の風は、まさにDぽ軍に吹いているかに見えた。
957 :非通知さん :04/05/29 01:45 ID:CaHdIcbB
遡る事3年余り、2001年9月に、2人の米国人が太平洋を渡り来日の途上にあった。
ホールデン公とライル伯爵は、長旅の続く退屈さから、船の甲板に出てきて一息ついた。

ホールデンは、ライルの同業者で、企業の投資を行う仕事に携わっていた。
ライルは、投資の仕事に就く前、獣医として働いており、瀕死の巨象を蘇らせたことの
ある名医だった。

彼ら2人の業務は似ていたが、性格を反映してかその内容には違いがあった。
ホールデンは、軍を買収し、適宜な時期に短期的な視点で叩き売って利ざやを稼いでいた。
普通の人からは整理屋、さらに悪意のある人々からは禿鷹、と揶揄されていた。
一方ライルは、こうしたホールデンのやり方には、軽い嫌悪感を抱いていた。
彼は、どちらかといえば再生屋、親会社のビジョンから離れた軍を独立させ、
一人立ちの世話をするのが自分の使命だ、と感じていた。

「これは、ライル殿。しばらくですな。同業者同志、お互い次の国で軍を叩き売って、
儲けるとしましょう。」
「私の方針は…弱小だが有望な軍を援助し、その上で利益が出るよう育てる投資をする
つもりです。どうやら、あなたの投資とは違うようだ。」
禿鷹め、はき捨てるように小さくつぶやくと、ホールデンはこれを聞き咎めて言った。
「正義の味方を気取りたいようだが、かの地では所詮俺たちは同じ禿鷹、
仲良くやろうじゃないか」
ライルは、青く澄んだ眼で、無言でホールデンを見返した。

ホールデンとライルは、日本の通信業界に興味を持っていた。
日本に着くと、通信業界の各軍を訪問して回った。
彼らの望みは、将来有望な、規模の小さい軍を買収(投資)することだった。
ホールデンは、かつて日電軍と呼ばれ、業界3位ながら規模において他軍に大きく
水を空けられていた軍団に興味を持ったように見えた。
959 :非通知さん :04/05/29 01:46 ID:CaHdIcbB
最後に2人はDぽ軍をたずねた。Dぽ軍本拠地に着くと、2人は応接室に通された。
「他の軍に較べて、随分質素なところじゃないか…」ホールデンは顔をしかめ、
「まだ日本にこんなところがあったのか」
思わず口に出てしまった言葉を同行したライルに失礼だと咎められた。

当時、Dぽ軍の総勢は295万回線。前年の300万台から軍加入者は減り続けていた。
しかし、Dぽ軍の雰囲気は和気藹々としており、話す人はみな笑顔で気分が良かった。
ライルは好感を抱いたが、ホールデンの眼は冷ややかだった。

Dぽ軍司令官が彼らを出迎えた。
「なぜ、衰退するPHS軍を率いて戦っているのですか?戦況は、明らかにあなた方に不利では。」
ホールデンはぶしつけに尋ねた。
「Dぽ軍は…いわばこの土地に生まれた若木で、時代の風をその身体一杯に受けて揺れ動きます。
大樹である他軍の安定はないけれど、自分たちの小さな動きが、大きく全体を左右し、
充実感があります。それがこの過酷な環境でもこの軍を離れられない理由ですかね。」
ライルは、次第にDぽ軍に惹かれていく自分を感じた。
「現在は、あう軍の傘下におられるようですが…?」
「将来的には、あう軍と我が軍はサービスにおいて相容れません。」
司令官は、真っ直ぐライルの眼をを見つめ、答えた。
「いずれは独立することになる、と考えています。」
独立!ライルは驚いた。当時のあう軍の総勢は1200万人にも届かんとする
大軍である。300万の軍勢が、あう軍の庇護を離れ、他の3キャリアを敵に回して戦おう
というのか!

ホールデンは、気の利いたジョークだと笑い飛ばした。ライルは、この人なら、と思った。
「お気持ちは、良くわかりました。もしも、次に日本に来ることがあったなら・・・」
「あったなら?」
ライルは、力をこめて言った。
「その時我々は、Dぽ軍に投資したいと思います。」
ホールデンは、眼をまるくして驚いていた。
961 名前:非通知さん[sage] 投稿日:04/05/29 01:48 ID:CaHdIcbB
今、司令官は広場を見下ろす高台への階段を、一歩一歩登っていく。 
暗い階段から開いたドアを開けて外へ出ると、光があふれ司令官は目をつぶった。 
頬に風がそよぐのが心地よい。まばゆい光に眼が慣れると、眼下には多くの人が集まっていた。 

左に控えるのは、ライル伯爵とその部下が6人。 
右には京世良隊長代理と隊員併せて3人、そしてあう軍から将校が1人やってきていた。 

(以前は、あう軍からの軍監は8人もいた…) 
これでDぽ軍は、あう軍にほとんど気兼ねする必要なく戦略を立案することが 
可能になった。ライルは、完全に信用して良いのか。それはまだ未知数だが…。 
司令官は、亡駄軍の昨今の混乱を思い浮かべた。 
もし万が一、ライルが心変わりしてDぽ軍を転売し売り叩くような事になれば、 
ここにいる3人の京世良隊員と1人のあう軍将校が協力し、その暴走を止めることになる… 

壇上に上がると、司令官は呼びかけた。 
「Dぽ軍は、6月中旬をもって新軍を設立する!」 
続けて、 

一、Dぽ軍は、ライル氏に経営権を預け、指揮はそのまま現司令官が担当する 
二、ライル氏は、Dぽ軍を別の軍へ転売することをしない 
三、Dぽ軍の以前あった負債は、全て同盟軍のあう軍が肩代わりする 
四、Dぽ軍のあう軍への友好は、今後も維持する。ただし、以後は戦略上で互いに縛られることはない 

と述べた。 
ライルという外資を受け入れる、とした時点で、広場から小さなざわめきがあった。 
司令官は、 
「これまで我々のやってきたことが高く評価されての提案だと思う。不安かとは思うが、 
結論までそんなに長くはかからない。」 
と皆を激励した上で、 
「これはDぽ軍にとって、好機の到来でもある。今後ともしっかりやっていこう!」 
と述べ、広場からは司令官に盛大な拍手が送られた。 
33 名前:こんばんは[sage] 投稿日:04/05/29 02:45 ID:lPfBJ4eF
海泉(ハイチュアン)はダイビングで言うところの 
ハイパーベンチレーションを行った。ダイビングでは 
禁止事項だが、気持ちをほど良い緊張に持って行ける。 
精神的な安定が絶対に必要なスポーツなのだ。 

日焼けした身体がスーツ越しに冷やされる 
気持ちいい! 
酸素が肺胞に染(し)み渡る 
気持ちいい!! 
視界の碧(あお)が次第に深くなる 
気持ちいい!!! 
イメージすることで、 
気持ちを高めながら静めていく。 
野営で強張った身体をほぐしつつ、 
闘争心は腹の底に待機させる。 

夜明け前、小霊通連合軍の宿営地撤収中、 
ZTE-V91の動作確認をする。海泉は心配性で 
起床後三度目の確認だ。周りでは暗闇の中、 
出立を急かすように激が飛んでいる。


静かだった上海の空が、日の出とともにざわめき始めた。 
327 :非通知さん :04/05/30 17:43 ID:PVOOvmyi
前回までのあらすじ
2004年5月27日、Dぽ軍は米投資家の力を借り、ついにあう軍から事実上独立を目指すことを決意。
6月中に交渉を完了し、新軍を設立することに決めた。Dぽ軍にとって、米の資本力により独立を
果たすことは大きな賭けであり、これによってDぽ軍は、過去の負債を一掃し、勢力拡大に踏み出す。

一方、進軍中のDぽ軍は神奈川と静岡の県境において、宿営の準備をすすめた。
宿営準備が全て終わると、京世良、山陽、日無3人の隊長は、囲炉裏を囲んで丸く座った。
後ろに数人、隊員が控えている。
3人の前には地元の豪族が座り、隊員たちの労をねぎらった。
4人は、しばらく世話話を続け、あたりは夜の闇が深まってきた。

当たり障りのない会話に業を煮やした隊員が言った。
「何故、Dぽ軍東京の勢力範囲の西限にあたる、静岡まで一気に進軍しないのですか?」
若い隊員は、Dぽ軍の進みの遅さにいらいらしていた。
「静岡はー」
京世良隊長は答えた。
「凹藻軍の西限であり、また亡駄軍東海の東限の地でもある。」

亡駄軍か、と聞いて若い隊員達は笑いかけた。ところが、
3隊長にその地の豪族を加えた4人は、厳しい顔で隊員達をたしなめた。
亡駄軍東海は他所とはまるで違う、と。

「全国での軍の勢力比は、凹藻軍東海1割、あう軍中部1割1分に対し、亡駄軍東海は1割7分もの大勢である。
さらに、先月の軍加入者数は亡駄軍東海が全国亡駄軍中一位、非常に活力があるとの噂だ。」
と京世良隊長が言えば、
「いわば、敵軍の本拠地にニアミスする形での行軍であるから、ゆめゆめこれを侮ってはいけない。」
と山陽隊長が言葉を継いだ。
「明日からは、行軍スピードも、上げていく。心配するな。」
日無隊長がぼそっと言った。
198 :非通知さん :04/06/01 03:11 ID:/AJbG9oH
前回までのあらすじ
神奈川県境を出発したDぽ軍は、箱根を越えて静岡に到り、
Dぽ軍静岡のサービス拠点、最東端にある沼津を目指す。

神奈川を出発したDぽ軍は、進軍速度を上げるために箱根越えを選び、
山谷を越えて先を急いだ。Dぽ軍東京の勢力範囲である静岡は、
同時に亡駄軍東海の前線基地でもあったため、神奈川までの暢気なパレード状態から一転して、
警戒を強めて進軍した。Dぽ軍は機体のアンテナを伸ばして寝かせ、辺りに気を配りながらも
出来得る限りの速度で森を抜けていく。
昼なお暗い鬱蒼たる木々の下、山陽隊長の眼に、斜め前を行く日無隊長が映った。
戦場を渡り歩いて日に焼けた精悍な顔つきの日無隊長は、視線を前に向けて整然と進軍していく。
(何故、日無隊長は、アステル軍との交戦を嫌うのだろうか・・・?)
横顔を見ながら、ふと日無隊長にまつわる、伝説を思い出した。

(かつての山陽隊がfeel H"によって、Dぽ軍の命運を賭けた勝負を行ったように、
アステル軍もまた勝負を賭けた一瞬が存在したと聞く…)山陽隊長は回顧した。

2000年12月15日、PHS軍の停滞を打開したいアステル軍東京は、軍の命運をかけて一つの端末を生み出した。
名前を、AJ-51 と言った。その機体の特徴としては、当時としては珍しい、芋砲と互換性のあるドットi砲、
PCメールと連携の取れる長文メール砲(旧)を備えていた。
199 :非通知さん :04/06/01 03:12 ID:/AJbG9oH
「この機体なら勝てる!」
当時、アステル軍の主力だった日無隊長は喜んだ。昨今における劣勢を跳ね返し、
100万台を回復するまたとない機会である。液晶はモノクロ4階調で和音は3和音だったが、
何より凹藻軍の芋砲やパソコンのメール砲と連携が取れる機体は、AJ-51 が初めてだった。
若い日無隊長は、勝利を信じて第2弾の機体を企画し、密かに準備していたとされる。

ところが、実際にこの機体が大流行を起こすことはなかった。
その当時の人々は、発売前後には新機種に注目したものの、液晶の見た目の華やかさ、
速度のもっさり加減などを理由としてか、それともその機体の扱いにPCの知識が
必要で敬遠されたためなのか、この機体は思ったほど、失地回復の成果を上げなかった。
発売後半年を経ずして、加入者人数は減少に転じ、それ以降は増加することなく現在に至り、
アステル軍の主力兵器も、AJ-51以来、発売されていない。

日無隊長は残念だった。もしこれがカラーならば、もっとスピードが速ければ、あるいは…!
隊長は次期アステル機の構想を携え、アステル軍東京だけでなく、他国のアステル軍にも働きかけ、
機体の完成を目指した。
当時のアステル軍も今と同じく地域毎の連携がなくバラバラで、日無隊長への態度もまちまちだった。
しかし、どこの軍も、再び新機体を生産して戦う余力は残っていないようだった。
200 :非通知さん :04/06/01 03:12 ID:/AJbG9oH
失意の日無隊長は、企画書を持ったままアステル軍を出て、流浪の末Dぽ軍に辿り着いた。
Dぽ軍の司令部に着くなり司令官に向かって、説いた。
「残念ながら、今の機を見るに、Dぽ軍の進路は間違っておるようですな。」
居並ぶ山陽レジェ隊長、京世良テソロ隊長は不躾な物言いにムッとしたが、
司令官は興味を持っていった。
「ほぅ、何故だ。」
「AirH"は、自由な風にござる。現在(当時)のように、大勢力のマネをして、
コンテンツを囲い込んでいるようでは、PHSの未来は覚束ないと存ずる。」
山陽レジェ隊長は機嫌を損ねて言った。
「ならば貴殿はどのように考えられておるのじゃ。我々はすでに精一杯戦っておる。」
「某ならば・・・凹藻軍の芋砲と互換性を保ち、自由にインターネットができる環境を作りまする。」
しかしそれは、と京世良隊テソロ隊長がさえぎり、
「アステル軍が失敗した戦法ではないのか。」
それを聞いて日無隊長は、
「某にはいささか考えがござる」
その為には、新隊を作ることをお許しいただきたい、と続けた。
普段寡黙な日無隊長は、そこまで言い終わると黙った。
「よし・・・解った。」しばらく考えた後に、新隊を作りやってみるがいい、と司令官は認め、
「今後は、AirH"Phoneを名乗るが良い」と言った。

噂だから細部は確かではないが、と山陽隊長は回想を続け、
(つまり、AH−J3001V、AH-J3002Vは・・・日の目を見なかったAJ-51の後継機なのだろうか。)
と思った。だから…日無隊長は戦いたくないのではなかろうか。

部隊は箱根を越え、静岡に入った
781 :非通知さん :04/06/03 03:18 ID:8pnk27w7
前回までのあらすじ
静岡に入ったDぽ軍。そのままスピードを緩めずに進軍し、
昼前に軍はDぽ軍のサービス拠点、沼津へと到達した。

沼津に入ると、どこからともなく磯の香がした。
魚介宝庫の駿河湾で取れた新鮮な魚介類や、あじ・かます・金目鯛の干物、鰹けずり節
など、店頭に並ぶ豊富な海の幸をDぽ軍の隊員は珍しがった。
早速、沼津城に入り、一息入れた。ここで軍は歓迎を受けた。
沼津は、静岡の中でも激戦区で、拠点数だけでも
凹藻:亡駄:あう:Dぽ:塚:アス:=5:6(2ショップ4モール):6:1:0:0
の激戦で、Dぽ軍の拠点数はわずかだった。

沼津では、ここに留まって1泊していってはどうか、と市民達から勧められた。
当然、隊員たちも大乗り気であった。
京世良隊長が言った。
「ご厚意、かたじけない、ですが我らは・・・」
「先を急ぐのですぐ出発いたす。」
日武隊長がこう言うと、
隊員達の一部から不満が漏れた。京ぽん隊が多かった。
彼らのケータイには既に、沼津ぐるめ街道等のBookMarkが溢れていた。
782 :非通知さん :04/06/03 03:19 ID:8pnk27w7
それを知っている山陽隊長はニヤニヤしながら、
「京ぽん隊の最近の働きは、真に見事だ。私から、京世良隊長に1ヶ月ほど休めるよう、
頼んでみよう!」と言い、
「でも、6月末には凹藻軍とあう軍と亡駄軍の最新端末が出てくるからー」
モマエラミンナ、ケシトンジャウカモネ、と小さな声で続けた。
京ぽん隊員は互いに顔を見合わせ、直ちに言った。
「我々は、道理の通らぬ世の中にあえて挑戦する、頼りになる神出鬼没の、京ぽん部隊!
・・・休みを取るなんて、もっての他です!」
山陽隊長は眼をつぶると、芝居がかった調子で、
「京ぽん部隊の忠勤は実に素晴らしい!山陽部隊も是非見習いたいものだ!」
といって快活に笑った。

京ぽん部隊はすこし恨めしそうな顔をしてから、早速進軍を開始した。
230 :非通知さん :04/06/05 02:18 ID:aK0ta0/F
前回までのあらすじ
時流を得て、波に乗るDぽ軍。司令官は、
Dぽ軍を送り出した後も仕事に忙殺されていた。

月が変わっても、相変わらずDぽ軍への評価は高く、
報道等、各種媒体に新型機が掲載されることも多くなってきた。
だが、都心部では、思わぬ人気による弾切れが各地で起こっており、
流れに乗り切れていないようなのが司令官には頭の痛いところだった。

そこへ、秘書が来客を取り次いだ。
「京世良公がお見えです。」
何、京世良公が…
司令官の表情が晴れやかになってきた。

京世良公は、Dぽ軍のいわば創設者に当たる産みの親で、
京世良京ぽん隊長は、テソロ隊長と共にこの人の指揮下で動いていた。

一通りの挨拶を終えると、
司令官は買収の件について祝賀を述べた。

「昨今の京ぽん隊の活躍により、PHSの良さが改めて世間に認知
されるようになってきたのは、悦ばしい限りです。
これも京世良公のご慧眼の賜物かと存じます。」
と司令官が述べると、
「PHS事業を立ち上げたのは私だよ。PHSの技術的な良さは知り尽くしている。」
と笑った。
「貴公のお蔭をもちまして、Dぽ軍はついに独立軍と相成りました。」
感慨深げに述べると、
「KDDIから一人立ちすることで、Dぽ軍はその良さをもっともっと
引き出すことが可能になる。」
旗を振るだけでなく、行動が肝心、頑張ってくれよ、と激励した。
231 :非通知さん :04/06/05 02:20 ID:aK0ta0/F
(京世良公は本気なのだ。)
司令官は胸が熱くなった。
公はさらに、
「現在、すでにOpera砲対応の端末の開発は既にスタートしている」
ことを伝えた。
となると・・・司令官は指折り数え、
「来年春、遅くとも夏頃には、戦線投下できそうですな。」
「軍設計者の若い技術者の中には」
京世良公はにやっとしながら、
「凹藻軍を取り込んでみせる、と宣言するのもいて頼もしい限りだ。」
「巨大な勢力に対抗し戦を仕掛けるのは、我々Dぽ軍の遺伝子とも言うべきもの。
凹藻軍には対抗サービスで揺さぶりをかけたいと存じます。」
司令官も、笑みを浮かべた。

いよいよ、しがらみを断ち切り、新たなサービスを提供できる!
6月中旬以降、Dぽ軍は新たなる局面を迎える。
285 :非通知さん :04/06/09 03:01 ID:ig1T+Xp/
6月7日、Dぽ軍の各地区代表が、前月の成果の
報告のために本部「虎ノ門城」に集結した。

Dぽ軍東京地区代表は、表情も明るく乗り込んできた。
しかし、本部に集まってくる他地区代表は思いのほか暗く、
虎ノ門城の天守閣は緊張に包まれていた。

司令官が入ってきた。
周りを一渡り見回すと、司令官は言った。
「Dぽ軍5月の戦績を発表する。今月の軍加入者数は、全体で純増4800だ。」
各地区の代表は、ややほっとした表情を浮かべた。

「続いて、各地区代表の報告を聞こう!」
Dぽ軍東京地区代表が先陣を切った。
「Dぽ軍東京地区は純増8700!今月は塚軍、亡駄軍の純増数を凌ぎ、
ケータイ3位の伸びを示しています!」
激戦地区の東京地区で、3位とは!代表の間から感嘆の声が上がった。
Dぽ軍東海地区代表がこれに続いた。
「Dぽ軍東海地区は、先月に引き続き純増、1200!」
司令官は、
「東海地区は、実に49ヶ月もの間、純増を保ち続けている。
Dぽ軍一番の優秀さだ。」
と、これを手放しで褒めた。
さらに、関西地区代表が
「Dぽ軍関西地区、純増。300!」
と続いた。
司令官は、
「関西地区、関東地区共に3ヶ月連続の純増、真に悦ばしい限りである。」
とこれも褒めた。
286 :非通知さん :04/06/09 03:02 ID:ig1T+Xp/
そして、続いて北陸、沖縄、北海道、東北、四国の報告があり、これらは皆、純減だった。
北陸はその中では一進一退の増減を示し、軍加入者減は一時的なものに思われた。
また、沖縄は最近2ヶ月は純増、0、となっており、これも未来に希望が持てた。
しかし、純減が止まらない東北、四国、北海道は何か手を打たないといけなかった。

(関東、東海、関西か・・・やはりDぽ軍は市街地戦は強いようだ。)
現在Dぽ軍が進軍している地域は純増を果たしており、司令官は胸をなでおろした。

また、司令官は今後のDぽ軍の進み方に触れ、
「Dぽ軍はさらに軍を西行させて愛知から軍を北にー」

突然、司令官を遮って、東北地区代表と北海道地区代表の代表が椅子から立ち上がり、
「Dぽ軍は、北海道、東北地域において弱いことが今回の結果では明らか。」
と北海道地区代表が述べ、
「軍は西行するのも結構だが、東進はどうしたのか。即刻Dぽ軍を派遣していただきたい!」
と東北地区代表が後を継いだ。
東京地区代表が立ち上がっていった。
「東京地区は、Dぽ軍最大の軍加入者を擁しますが、現在は3隊長が東京外に出ており、
これを率いる隊長がおりません。」
実際、戦闘可能なのは京世良テソロ隊長と山陽レジェ隊長だけだった。
彼ら2人は防衛に当たっており、新隊を率いる余裕はなかった。

司令官は2地区の代表に、新軍の設立が済み次第、軍を北に向けて進軍させることにし、
隊長は人選を行うことをあわせて約束した。
433 :非通知さん :04/06/11 01:29 ID:235GSqmx
虎ノ門城から各地区代表が帰ると、
司令官は早速側近を集めて人選に入った。

司令官は帰り際に京世良公に言われた言葉を思い出していた。
(京世良公は、我がPHS軍総数(含む海外)は、今年は大幅に増え、全世界で1200万台を
予定している、と言っていた。
この数字は(単純には比較できないが)、京世良公PHS全軍だけで全世界のPDA(個人用の携帯情報端末)軍の
総生産数を上回ることになる。
素尼軍が海外PDA軍を撤退させたと聞くが、Dぽ軍は元々メーカーブランドに近く、日武将軍のように
人材の出入りは比較的自由だ。素尼のようなPDA軍を持った所に、PHS軍へ参加要請できぬものだろうか・・)

側近にこのことを話し、
「AH-K3001Vは確かに素晴らしい端末ではあるが、装甲(周辺機能)が非常に弱い。
装甲を充実させるには、舞台は違うが、索尼のようなPDA軍を持つ所に人材を求めたら
良いのではないか、と思うがどうだろうか。」
PDA軍の装甲か・・・と側近達は唸った。
「大変良い考えにござりますが、しかし・・・」
しかし何だ、と尋ねると、
「先日海外から撤兵を発表した素尼PDA軍は携帯部隊を持たず、携帯部隊は素尼衿将軍の配下に有ります。
素尼衿軍の所属するあう軍と、Dぽ軍は友好関係とはいえ、難しいかと。」
「将軍が違えば、確かに望みは薄いな…」
一応、使者を立てることにし、司令官は文をしたためた。

「良い考えがございます。」
別の側近が立ち上がると、言った。
「PDA軍を併せ持つ将軍、といえば、夏普将軍が有力にございます。
434 :非通知さん :04/06/11 01:30 ID:235GSqmx
「夏普将軍※か・・・!」
(※W−CDMA軍は、隊長を「将軍」と呼称。)

夏普将軍、それは、かつて亡駄軍が日電軍と呼ばれていたころ、その優れた采配と
並外れた能力を持つ端末軍を率いたことから、他軍から鬼神のように恐れられた武将である。
各地であう軍、凹藻軍を撃破、世に言う日電旋風を巻き起こし、
日電軍を一時的に携帯業界2位にまで押し上げた功労者である。

その並外れた破壊力を凹藻軍にも認められ、協力を打診されるも、
夏普将軍はすでに亡駄軍の主力であったためこれを断り、
夏普公は長兄である亡駄軍の夏普将軍に代わり、次兄を凹藻軍に派遣していた。

「夏普軍のPDA軍にはOPERA砲も装備されているし、もし提携が成ったら、素晴らしいですな!」
興奮気味に側近の一人が話すと、
「ただ、夏普将軍はW-CDMA連合の将軍、これを仲間に引き入れるのは難しいのではないか・・・?」
と別の側近の一人は腕を組んだ。
「・・・ここにも使者を送ってみよう。」
と司令官は答え、和紙の上にさらさらと手紙を書いた。
それを使者に渡す時司令官は、あまり過度な期待はするなよ、と釘をさした。

「あとは、自軍の隊長から選ぶことになりますな。」
「ああ、そうだな。京世良部隊、日武部隊、山陽部隊の中から一人隊長に昇進を・・・」

ふと、司令官は顔を上げ、顔に笑みを浮かべた。
「そうか・・・。一人、忘れていた。」
筆を取り上げると、一気に文を書き上げ、使者の一人に渡した。
「誰でございますか?」
使者が問うと、司令官は使者の肩をポンと叩き、いずれ解るさ、といって使者を送り出した。
359 :非通知さん :04/06/14 03:33 ID:zKfduHf7
Dぽ軍は6月11日の明け方に富士川を越え、静岡城に入城した。
富士川以西は、アステル東海(中テレ)軍の勢力範囲だった。
安部川のほとりにアステル静岡西城が建っていたが、
すでに新規軍加入者の募集をやめているアステル城はさびれていた。

3人は、城攻めの是非を決めるため、協議を行うことにした、まさにその時。
京世良隊長の前に使者がやって来て、京ぽん隊の機体のファームアップが
用意されたことを告げた。

近くに居た京ぽん戦隊の顔が喜びに輝いた。
あわててパソコンを求めて駆け出そうとする隊員たちを引きとめ、まず京世良隊長がファームUPを
行い説明することになった。

%が上がるにつれ、京世良隊からは声を合わせて%を数え始めた。
「、48、49、50、51、52、!」
京ぽん戦隊が京世良隊長の機体を食い入るように見つめている。
「53・・・」
「・・・」
失敗か…?京ぽん戦隊にやや焦りの色が見られた。
「・・・54、55!」
そして、100%になり、ファームアップに成功すると、京世良隊長は説明した。
「このVer1.4は通話品質とメール砲、データ管理部分が改善したものだ。これはー」
もう我慢できませぬ、隊長!と京ぽん隊の隊員達に急かされ、
京世良隊長は京ぽん隊にファームアップの許可をした。
それっ、とばかりに京ぽん隊はPCと接続できる環境を探しに走った。
周りからは、次々と、動作軽くなってイイ!サクサク!とか、
それはプラシーボ効果では、などと評価する声が上がり、城中は慌しくなった。
360 :非通知さん :04/06/14 03:34 ID:zKfduHf7
「なんだか、楽しそうだな・・・w」
山陽隊長は、物珍しげにこの光景を見ている。
味ぽん隊はすでに経験があるので楽しげにこの光景を眺め、日武隊長も口の端が笑っている。

京ぽん戦隊がファームアップを行っている間、
これからのDぽ軍の進軍について、隊長3人は先月の軍加入者数を眺めながら話しあった。

話し合いは夜まで続き、結局、北陸のテコ入れも大事ではあるが、中国、四国地方の軍加入者数が
少ないのを放置しておくのは得策で無い、と3者は考え、名古屋で軍を岐阜と滋賀の2つの道に分けて進軍する
ことにした。
北陸には、山陽隊長、京世良副隊長を派遣し、京ぽん戦隊を一部副隊長の配下に置く。
そして京世良隊長と日武隊長は滋賀を通り、Dぽ軍関西に合流する。
ここまで大まかに決めて、会議を終えるとすでに深夜になっていた。

外にでると、まだ周りが騒がしい。傍らの京ぽん戦隊に訊ねると、
どうやらファームアップに不具合があり、15日に再開するまで使えないそうで、
そのことについて一悶着あったようだ。
「藻前ら本当に元気だな・・・」
山陽隊長があくびをすると、京世良隊長は、
「明日も早いぞ。就寝!」
と京ぽん戦隊に号令をかけた。
あわてて京ぽん戦隊の隊員達は灯りを消してふとんに潜り込み、辺りは急に静かになった。
85 名前:非通知さん 投稿日:04/06/16 (水) 00:09 ID:CDcwbVp6
話は変わって、虎ノ門城。 
Dぽ軍東北代表と北海道代表の2人は、虎ノ門城の大広間に通されていた。 
2人は、やはり先日の援軍に対する回答だろうか、と話し合った。 
誰が派遣されるのであろうか…? 
「やはり、京世良隊長であろうか。」 
「いやいや、やはりここは山陽隊長かと。」 
と2人で想像を膨らませていた。 

そこへ、司令官が入ってきた。 
「お忙しいところを、お呼び立てして申し訳ない。」 
2人は軽く頭を下げると、こう切り出した。 
「本日は、お招きいただきかたじけない。本日の用件は一体何でございましょう。」 
「実は、先日の隊長派遣の件ですが,決定いたしました。」 
ふむ、と2人は身を乗り出した。 

司令官は、ふすまの方を振り向き、手を2回叩いた。 
すっ、とふすまが開き、一人の少年が入ってきた。 
年の頃は16,7であろうか、精悍な顔立ちだが、どことなくあどけなさを 
残している。この少年、どこかで・・・? 
東北代表が眼を凝らしていると、 
少年は膝を付いて、2人に挨拶した。 

「日武にございます。」 
「あの日武隊長の息子さんか!」 
東北代表は驚いた。道理で初めて会った気がしない。
88 名前:非通知さん 投稿日:04/06/16 (水) 00:10 ID:CDcwbVp6
しかし・・・ 
「この任務は、Dぽ軍の失地回復の重要な任務かと存じます。 
失礼ながら、若き日武殿には少々荷が重いかと。」 
北海道代表の言葉に、少年は軽く眉を寄せた。 
「確かに、日武殿は将来有望な青年ではありますがー」 
司令官はちょっと日武を見た。 
「万一を考え、今回はデータ端末軍から、本田隊長に随伴して頂きます。」 

ほどなくして、本田隊長が入ってきた。 
「本田にございます。」 
白髪に眼鏡を掛けた温和な顔立ちの本田隊長は、なるほど 
日武隊長の補佐に相応しく思われた。 
「現在製造中の新機、AH-J3003Sの完成を待ち、本田隊長と東北に進軍してもらうぞ。」 
と少年の肩をぽんと叩いた。 

「AH-K3001Vは、2年近くも待たされたと聞きましたが…」 
はっはっは、と司令官は頭をつるりと撫でると、 
「9月まで発売する3機種のうち、まだ2機種は出ておりません。」 
そんなに遅くはなりますまい、と言った。 
「AH-J3003Sは、法人向けストレートとの噂ですが、機体の実力としては大丈夫ですかな?」 
北海道代表が懸念を示すと、 
「軍の実力は機体の良否ではなく、戦術によって決まります。 
本田隊長は、百戦錬磨のつわものであり、また日武新隊長は、稀有な実力の持ち主ですぞ。」 
心配ござらん、と太鼓判を押した。 
745: 非通知さん [sage] 04/06/21 01:12 ID:9/homBK2

6月19日、虎ノ門城下の広場に高札が立った。 
のどかな昼下がり、人々は立て札の前で噂しあった。 

立て札にはこう書かれていたー 
一、Dぽ軍は、10月1日を持って新軍を設立し、現在の軍を一時解散する。 
二、ライルから1名、京世良公が1名、軍非常勤取締役を派遣、 
  Dぽ陣営は軍執行役員制度を導入する。 
三、新軍には新しい名称を採用する。 

その下にも続けて色々な書き込みがあったが、とりわけ人々の興味をそそったのは軍の新名称であった。 
ポケット部分は残すらしいー。 
人々は、エアポケット軍、四次元ポケット軍、ポケットパケット軍等、好き勝手な名称をつけて楽しんでいた。 

ある少年が、軍執行役員制度って何なの?、とそばに居た親らしき人物に尋ねた。 
軍執行役員制度とは・・・ 
とちょっとその男は考え、 
「Dぽ軍には、軍の戦略立案を行う通常の軍取締役がいる。」 
と説明を始めた。 

「軍取締役とはいわば軍師で、普段は軍師が戦略を考え、さらにその戦略を実行する役まで担っていた。 
つまり、Dぽ軍の軍師が直接、軍を動かすところまで責任があったのさ。」 
軍師の責任が大きかったんだね、と少年は知ったかぶりをした。 
「そう。しかし、10月からは軍執行役員という役職を作って、軍の戦略を実行する役を任せることにした。 
これで、軍師(軍取締役)は戦略に専念し、軍執行役員は軍を実際に展開することに専念できるようになった。 
これによって、どういったメリットがあるかわかるか?」 

父親らしきその男は少年に尋ねたが、 
「つまり、戦略の意思決定がより迅速になる、ってことだよね・・・?」 
と少年はやや自信なさげに答えた。 
なんだわかってるじゃないか、とその男はにやりとし、 
少年は、そんなわかりきっていること聞くなよ、という表情をしてから、笑顔を見せた。 
746: 非通知さん [sage] 04/06/21 01:13 ID:9/homBK2

一方、虎ノ門城の天守閣から、司令官は前方に広がる空を眺めた。 
彼方に入道雲が湧き上がっているのが見える。 

東北代表と北海道代表が退出した後、本田隊長と日武新隊長の3人で話を続けた。 
司令官は2人に対し、Dぽ軍はこれからデータ通信軍の機能性、効率性を上げていく、 
という考えを伝えた。 

「Dぽ軍は、こうした(対PCのデータ通信)本来Dぽ軍が担うべき陣地に対して、きちんと陣地奪回をしていくことが必要です。」 
「しかし、携帯軍から陣地を奪回するには、速度にいささかの不安がございます。」 
本田隊長が懸念を示すと、司令官はデータ通信軍の高速化について言及し、 
また日武新隊長には、音声端末が携帯電話に対抗策として、通話料の値下げについて少し触れた。 

そうして2人を送り出した後、派遣したDぽ軍に想いをはせた。 
(Dぽ軍は現在どうなっているだろうか・・・) 
京世良隊長からの報告によると、現在部隊は名古屋に駐屯し、この後 
岐阜に行く途中で部隊を2つにわけ、北行軍が北陸を、西行軍が関西を越えて中国に入る予定だそうだ。 

(凹藻軍は既に夏モデル軍も登場してきている・・・) 
司令官はDぽ軍の、道中の無事を願わずにはいられなかった。 
693 名前:非通知さん :04/06/25 00:14 ID:QMzX2xrb
Dぽ軍は愛知に歩を進めた。 
愛知は関東と関西をつなぐ大動脈、東海地方の中心地である。 
この地は、関東・関西に次ぐ軍加入者を誇り、各軍にとって非常に 
重要な戦略上の拠点になっていた。 
Dぽ軍東海は、この地において23万の軍勢を擁していた。 
PHS軍において、凹藻P軍東海の9万強、アステル軍東海の5万足らずの軍加入者に対し、Dぽ軍は圧倒的優勢に立っている。 
しかし、携帯軍は凹藻軍483万、亡駄軍東海296万、あう軍東海205万、塚軍東海73万を擁しており、 
Dぽ軍はこの中でははるかに寡勢であった。 
これらの強豪のただ中にあって、Dぽ軍東海は4年もの間一貫して軍加入者を増やし、 
Dぽ軍苦境の際にも大きな支えとなっていた。 

部隊を脇道から岐阜に先発させ、隊長3人は東海最大の都市、名古屋に入った。 
最近はあう軍の攻勢によってだろうか、他陣営の動きがあわただしい。 
先日は、凹藻軍の軍司令が交代していた。副司令が繰り上がりであることから、 
後見役に退いた軍司令による院政では無いかと噂された。 

隊長達が料理屋で食事を取りながら一休みしていると、 
先に偵察に名古屋に潜入していた密偵が戻って来た。 
急いできたのか、肩で息をしている。 
「どうした、何か動きはあったか。」 
京世良隊長が水を差し出し尋ねると、一息にそれを飲み干してから続けた。 
「大変です、亡駄軍において、内紛が発生した由にござりまする!」 
亡駄軍司令が、と3人は互いの顔を見た。 
695 名前:非通知さん :04/06/25 00:15 ID:QMzX2xrb
「詳しく話を聞こう」 
日武隊長が促すと、 
「さる6月23日、打梨流・緑軍司令官が司令官の地位を退きました」 
「突然の辞任…これは妙だな。」 
京世良隊長がつぶやくと、 
「市井の噂では、突然の辞任は、業績の悪化を問われ事実上何らかの圧力がかかったのではないか 
と言われております。司令官の退任は、意に染まぬものかと。」 
「なるほど。」 
「また、亡駄軍は分かれていた軍を合併し、10月1日を持って新軍を設立するとのことです。」 
と密偵は報告を終えた。 
「亡駄軍は、奇しくもDぽ軍と同じ10月1日に合併、新軍設立の運びとなったのか・・・」 
と山陽隊長が言った。 
「新軍を設立することにより、亡駄軍もまた巻き返しを図ってくるのだろう。」 
京世良隊長は考え込むように言った。 

三人は、身分がばれない様に笠をかぶり、 
亡駄軍の居城、名古屋駅前城へ行って見た。 
そこには高札がたっており、 
亡駄軍は、緑司令官が一身上の都合により軍司令を退くこと、 
新しく無頼炎・蔵軍司令が司令官になり、新しい軍司令が決まるまでの期間、 
代理軍司令を勤める事が書かれていた。 

緑軍司令は、幸福時間、という善政を行っていたが、これが短期のキャンペーンに過ぎなかったため、 
軍加入者の中には裏切られたと感じる人がおり、高札を読んでいる3人の傍で、軍司令を公然と批判する 
者も少なくなかった。 

「いよいよ、W-CDMA連合が動きだしますな。」 
山陽隊長が小声で日武隊長に耳打ちすると、 
「我々も、うかうかしては居れぬ」 
と返し、改めて情勢の急展開に危機感を持った。 

3人は名古屋を離れ、岐阜県境のDぽ軍との合流地点まで急ぐことにした。 
949 :非通知さん :04/07/01 00:14 ID:Py/MqVRE
6月24日。光眩いステージに登ると、壇上の男は力強く宣言した。
「携帯軍参戦はどんなに時間がかかろうとも、どんな方法でも必ず実現する!!」

名古屋を出発した3隊長は、岐阜県境に待機するDぽ軍と合流した。
京世良隊長が亡駄軍の内紛について簡単な説明をすると、
それに続いて京世良副隊長が、行軍中に得た情報についての報告を行った。

「柔軟銀帝国に、携帯軍創設に向けての野望があります」
「柔軟銀帝国が・・・!」
3隊長は驚いた。飽和状態に近づきつつある携帯業界に、よもや新規参入軍が出てこようとは・・・?
「時間が無い、これより先は進軍しながら話そう。」

「柔軟銀帝国が会合を開き、その中で総裁は、携帯軍へ必ず参入する、との強い意向を示したそうです。」

柔軟銀帝国総裁、それは混沌の支配する通信業界において、一代にして一大帝国を作り上げた
乱世の姦雄である。その強引な勢力拡大、買収には今なお賛否両論が渦巻く。
柔軟銀帝国は、カテゴリは違うが、雅虎隊を組織し、現在1000万を越えるADSL軍の中において、
実に約420万人もの軍加入者を獲得している。そして、11月に旧日電の固定電話部隊を買収することで
回線数、ISP数、ADSL軍加入者数においてあう軍を凌駕する存在になろうとしている強大な組織である。

「柔軟銀帝国は、レンジャー部隊(落下傘)が非常に強力であったと聞きますな。」
山陽隊長がつぶやくと、
「全国に雅虎レンジャー部隊を展開し、4割近いADSL軍加入者を獲得したその組織力、宣伝力は凄まじいものがある…」
それに、と京世良隊長は続け、
「柔軟銀はいわばメディア帝国、異業種からの参入である。通信業界に無い発想、携帯に乗せられるコンテンツが
豊富である点においても非常に脅威だ。主にあう軍と陣取り合戦になるだろう。」
これは手強い相手だ、と京世良隊長は思った。
「今は無いが、万一2GHz帯にて参戦になれば、音声端末においてもPHS、FOMA軍と重複することになるか・・」と日武隊長が言った。
951 :非通知さん :04/07/01 00:15 ID:Py/MqVRE
「そして、もう一つ重大な知らせにございます。」
「何だ」
「アステル四国軍の親軍である四電公が、個人の見解として、撤退も視野に入れた軍内検討の必要性を明らかにしました。」
「ついに、アステル四国軍も危ういか・・・」
日武隊長がつぶやいた。
「四国が危ういとなると、関西からの道筋もまた変わってきますな・・・」
山陽隊長が考えこんだ。

岐阜と滋賀に分かれる道に辿りついたDぽ軍は、
軍を二手にわけ、
山陽隊と京世良隊の一部は北陸への路を進み、
京世良隊と日武隊は滋賀から関西圏へと入る。
「いよいよここで、お別れですな・・・」
山陽隊長が名残惜しそうにつぶやいた。
日武隊長が、手をすっと差し出し、
「また再び相見えましょうぞ。」
山陽隊長がその手を握り、京世良隊長がその上から手を
添えた。

「北陸が落ち着いた後は、加勢に駆けつけますぞ!」
山陽将軍は言った。
「それでは、また逢うその日まで!」
3隊長は北と西、2手に分かれて進んだ。
536: 非通知さん [sage] 04/07/03 00:36 ID:FYHCJC/5

再び、虎ノ門城。 
ライル陣営の、Dぽ軍買収交渉担当の2人が登城してきていた。 

司令官は、2人を迎えて語り合っている最中だった。 
司令官が、Dぽ軍についてお二人はどう思うかとの問いに答え、 
めがねを掛けた一人は、 
「・・・定額サービスでは、ネットワークがどこまで耐えられるかが重要。 
技術的に見ると、Dぽ軍は大量の接続があっても帯域がひっ迫しにくい。」 
と答え、技術面の優位性から、定額サービスでは最終的にDぽ軍が3Gに 
勝利します、と続けた。 
(何とも頼もしいことだ…!) 
心とは裏腹に、 
「PHS軍には、安かろう悪かろうというイメージがあるが、払拭できますかな?」 
とやや意地悪く聞いてみた。 
「盛り返せます。」 
と男は力を込めて答えた。 
「今の軍加入者は、自分にとって何が必要で何が不要かわかっている。きっと 
Dぽ軍の特徴が受け入れられるでしょう。」 
そしてもう一人は、 
「Dぽ軍は、速度がそこそこで安価な方が良い軍加入者を狙います。」 
そして、こちらの方が数が多い、と続けた。 
「なるほど、データ通信軍の軍加入者数を増やす戦略で行くのですな。」 

話を続けていると、一人の使者が入ってきた。 
使者は、日武隊長の使いだと言った。 
「そうか・・・遂に、AH-J3003Sが完成するのか。」 
報告に、司令官は話をそこで中断し、日武新隊長を呼んだ。 
537: 非通知さん [sage] 04/07/03 00:37 ID:FYHCJC/5

「お呼びでございますか。」 
司令室に入ると、日武新隊長はこう切り出した。 
見ると、顔がいくぶん上気し、頬に紅が差している。 
「遂に、新型端末が正式発表された。7月15日を以て、 
本田隊長と共に東北に進軍してもらうぞ。」 
「御意にござりまする」 
少年は、幾分緊張の面持ちで答えた。 
「端末の性能だがー」 
「ネットフロント砲、メール砲は前機と同様、形状をストレートにし、 
音声周りを強化(台場都市、ツインウェーブ)している。」 
「画面等はどうでございますか?」 
「画面は1.8インチ、6万5536色表示のSTN液晶(128×160ピクセル)。 
お父上の日武隊長と形状の差はあれ、機能的には似ている。」 
黙ってこれを聞いていたが、正直言って年若い日武新隊長には、 
性能面でAH-K3001Vのような強烈な個性を持っていないことがやや不満だった。 

司令官はそれを見ると、 
「今回のDぽ軍の主力は法人軍。データ通信と共に頑張って貰いたい!」 
と肩を叩いて激励した。 
「そして、まだ端末の少ないDぽ軍の宿命として、きっとお父上のように法人、 
個人両面で活躍を期待されることになるだろう。」 
しっかりな、と声をかけた。 

少年も気を取り直し、 
(いつかは、一角の隊長として、名前を認められるような働きをしてみせよう) 
と心に誓い、 
「では、出立の準備がありますのでこれにて。」 
と司令官の元を辞した。 
689 :非通知さん :04/07/05 19:56 ID:vnfugXh+
7月。軍を2手に分けたDぽ西進軍は滋賀に入ると、琵琶湖沿いに南下し、
彦根、安土、守山、草津と一気に駆け抜け、山並みに太陽がかかる頃には、
関西Dぽ軍サービス拠点の一つである京都山科城に入った。

城の外には、白地に青い丸、黒字で何か書かれてある旗が立っていた。
よく見ると、青い丸のそばにも小さい丸がある。
データ通信端末軍、精巧器械隊長がDぽ西進軍を出迎えた。

城に入ると、データ通信軍の精巧隊から歓待を受けた。
「ここで再びお会いできるとは…奇遇ですな。」
日武隊長は精巧隊長に話しかけた。どうやら面識があるらしい。
「現在、アステル関西、アステル中国軍攻略に手間取っており、援軍を待っている
ところだったのです。」
「精巧隊長の力量を持ってすれば、あっという間に城は落ちるのではないですかな」
日武隊長は、苦しい時を共に戦って来たデータ端末軍には、ひとかたならぬ思い入れがあった。
「いやいや、なかなかに厳しゅうござる。」
「アステル関西軍には、優れた隊長が居られるのですか。」
京世良隊長が精巧隊長に尋ねた。
「アステル関西軍は隊長というよりはむしろ、サービスに優れております。」

隊長達は、詳しく話を聞くことにした。
「現在、アステル関西軍とアステル中国軍は音声端末の新規軍加入者を停止するなど、
死に体になっておりますがー」
「この2つの地域には、双子のサービスがござる。」
「双子の制度・・・?」
京世良隊長が聞いた。
「その名を、E翁64、M卵64と呼んでいる、PHSを使用したデータ通信定額制のことでござるが、
これがなかなかに手強い。」
「手強い、とは」
691 :非通知さん :04/07/05 19:58 ID:vnfugXh+
「Dぽ軍の定額は主に32K(オプションで128K)、翻って相手方の定額は64K、
しかも値段が低く抑えられております」
「なるほど、圧倒不利移動の関西、中国版のようなものか…」
これを聞いて精巧隊長は顔をしかめた。

圧倒不利移動、それはドコP軍のデータ通信軍である。
出現当時、親軍である凹藻軍の宣伝力によって、
Dぽデータ通信端末軍は一時的にダメージを受けていた。

「さらにアステル中国軍は、端末が無料貸出(使っている間ずっと)、
ADSL軍のように軍加入してから3ヶ月は無料などのキャンペーンを行っており、
しばらくの間これを攻めるのは難しいと存じます。」
「道理でアステル軍の中にあってアステル中国軍は加入者を増やしているわけだ…」
京世良隊長は絶句した。

「そこで、現在はMVNO軍に援軍を使者を送り、軍の到着を待っている所です」
「MVNO軍。」

MVNO軍、それはDぽ軍の空いた陣地を賃借し、独自の戦略で軍加入者数を増やしている独立軍である。
キャリアであるDぽ軍に対し、軍加入者に対して価格帯、データ通信サービスにおいて柔軟に
付加価値をつけたサービスを提供しており、各軍に特徴があった。
MVNO軍は、軍加入者獲得という狭い視点で見れば、Dぽ軍にとってむしろライバルともいえる存在だったが、
PHS軍を利用したさまざまな付加価値サービスが出ることで、軍加入者には選択肢を増やし、
PHS軍全体の発展に寄与していた。

「地域によってバラバラ、というアステル軍の弱点は、その地域に密着した特性を生かした
細やかなサービスが行える、という利点にもなっておるようです。」
(アステルデータ通信軍に対して、現時点のDぽ通信端末軍は、有効な武器を持たない…)
「時間が必要だな・・・」
京世良隊長、日武隊長は、長期戦になることを覚悟した。
232 :非通知さん :04/07/09 00:54 ID:rQBlb6UE
毎月、月初めからかぞえて平日も5日目になると、
世の中は軍加入者数についての話で持ち切りになる。

7月7日、七夕、虎の門城。
各地域の代表が、登城してきた。
一様に神妙な面持ちをしている。
「どうやら今月は、軍加入者数が凹藻軍があう軍を上回ったらしいぞ…」
ついに凹藻軍があう軍を9ヶ月振りに上回った、その噂が辺りを飛び交っていた。

Dぽ軍司令官が入ってきた。
周りを見渡し、言った。
「Dぽ軍6月の戦績を発表する。軍加入者数は、全体で純増4000だ。」
各地区の代表は、司令官を見ている。

「各地区代表の報告を聞こう。」
先月に引き続き、Dぽ軍東京地区代表が口火を切った。
「Dぽ軍東京、純増6700!塚軍を超えて4位です!!
…ですが、残念ながら、亡駄軍が好調で、
これに及ぶことは出来ませんでした。」
やや口惜しい様子だった。
「亡駄軍は、先月に入って力を盛り返し、全体で64100の純増である。」
各地区代表は一様にどよめいた。
「亡駄軍は元々巨大キャリアであり、東京でも29300の伸びている。これは仕方が無い。
塚軍は建軍10周年で久しぶりの純増を記録しているが、これは一時的な物の様に思う。」
233 :非通知さん :04/07/09 00:56 ID:rQBlb6UE
続いて、Dぽ軍関西方面が立ち上がった。
「Dぽ軍関西、純増800!4期連続の純増にござりまする。」
さらに、Dぽ軍中国方面軍が続いた。
「Dぽ軍中国、純増200!」
「Dぽ軍中国方面の純増は、実に1年7ヶ月ぶりの快挙である。」
このままの調子で頼むぞ、と激励した。
そして他にはDぽ軍東海方面軍が純増300を記録していた。

「今回は、東京と東海でやや伸びが鈍化したものの、関西方面での健闘、
全体的な軍加入者の減少が和らいだことにより、Dぽ軍破竹の4期連続純増である。
そして東北には、と続け、15日発売のAH-J3003S軍を北進させて様子を見る、と話した。

実は、Dぽ軍東北方面は、Dぽ軍の中で4位の軍勢を擁し、
去年の10月まではDぽ軍東海を凌ぎ、Dぽ軍第3位の軍勢を誇っていた。
東海が純増を続けたのに対して東北は大幅に減少し、その明暗を分けた。
Dぽ軍東北方面は、依然として厳しく、純減数は、今年に入って減り続けているものの、
純増に至るにはまだ紆余曲折を経なければならないだろうと予想された。

司令官は、
「今回はライルとの提携効果がまだ出ておらず、あう軍の庇護下から離れる事が
公になって初の軍加入者集計である。これからも気を引き締めていこう!」
と続けた。
62 :非通知さん :04/07/15 01:25 ID:YTe0cqki
虎ノ門城、7月15日、早朝。
本田隊長と日武新隊長は2人揃って司令官に別れを告げるところであった。
「東北の件、しっかりな。」
おまかせください、と若い日武隊長は応じ、本田隊長も日武隊長を補佐し、
共に力を合わせて戦うことを誓った。
実際のところ、法人端末市場は、個人市場の飽和状態を受けて戦いが激化しており、
秋口には凹藻軍のN900iL隊が新たに創設される予定だった。

日武新隊長は、本田隊長の脇に、見慣れない若者がいるのに気づいた。
後ろに銀のストレート端末が控え、自分達と同じ隊長格の人物のように見える。
この隊長らしき人物の率いるストレート端末軍は、かなり変わった形状をしていた。
アンテナのある辺りにぽっかりと穴が開き、通信部分が一見存在しないかに見えた。

「本田隊長、そのお方はどなたですか。」
日武が尋ねると、
「ああ、2人は初対面でしたな。この者は、正式なDぽ軍ではござらんが、
縁あって本田隊との関係が深うござる。」
そう言うと若者を振り返って見た。
「富士にござる。」
若者は、日武に対し軽く会釈した。
あわててお辞儀を返す日武。
(富士隊長といえば、データ通信軍でご活躍の…?それにしてはお若い。)
「富士隊長は、将来性のある若者。東北遠征を機に、是非戦場を見せておきたい
と考え、随軍してもらっておるわけでござる。」
63 :非通知さん :04/07/15 01:28 ID:YTe0cqki
聞くところによると、富士隊長の端末は無線LANを搭載し、通信方法としては、
無線LANとPHS、携帯のすべてで電話として使え、キャリアを選ばない。
最初は法人のみの販売でPDA並みの価格になり、個人には高嶺の花になりそうだったが、
OSにはWindowsCEを搭載しており、性能もまた動画等、PDAの機能が備わっていた。
端末側でキャリアを自由に選択できる端末軍の登場は、新しい世代の風を感じさせた。

「わが軍はまだ試作段階で、製品化は秋以降になります。」
そう、凹藻軍のN900iL隊が当面の敵となるでしょうか、と富士隊長が日武新隊長に話しかけた。
「企業のIP電話が設定を変えることなく外に持ち出すことがに可能になり、しかも複数の人が同時に会話可能。
さらに世界で標準的な流れになっているスマートフォン軍の流れも組んでおる。将来は明るいぞ。」
本田隊長は、この若者を高く評価しているようだった。
(自分も、頑張らねば。)
日武新隊長は思った。


Dぽ軍北進軍は、東京を出発して埼玉を抜け栃木を越えて福島に至るルートを選んだ。
見上げれば空には入道雲が立ち上り、日差しは焼け付くようだ。
気がつけばもう7月も半ば、各軍の動きもあわただしい。
「出発!!」
Dぽ北進軍の暑い夏が始まる。
804: 非通知さん [sage] 04/08/12 11:08 ID:IRDd+hjm 

現在までの展開 
2004年7月末、ついにDぽ軍とアステル沖縄軍間の提携が成立した。 
これにより2005年1月から、アステル沖縄軍とDぽ軍は沖縄において 
軍を共同展開することになった。 
これで次月以降のDぽ軍九州の軍加入者増加が期待された。 

そして8月、うだるような暑さの中で、 
Dぽ軍は関東、東海、関西の3方面において善戦し、 
北陸では軍加入者数をイーブンに戻すことに成功した。 
月毎の軍加入者数においては現在不振の亡駄軍を抜き去り、一時的に 
ケータイ業界3位に躍り出た。 
凹藻軍はわずか6000の差であう軍の追撃をかわし、2ヶ月連続の 
首位獲得に成功、あう軍の首位奪還は惜しくもならなかった。 

8月にぴぴっと軍の後継機が発表され、9月までに発売される3機種は全て出揃った。 
R-SIM軍が今後どのような展開を見せて行くのか? 
柔軟銀帝国の携帯軍参入は何時になるのか? 

まさに激変のケータイ業界において、 
10月の新生Dぽ軍の誕生まで、あと2ヶ月に迫った。
277: 非通知さん [sage] 04/08/24 02:08 ID:jCZ9IaU6

遡る事、3ヶ月、凹藻軍5月14日。Dぽ軍がPHSのフラッグシップモデル、 
AH-K3001Vを発売し意気上がるちょうどその頃、凹藻軍では新人事が発表された。 
凹藻軍の司令官に、那賀村副司令官が繰り上がることが発表された。 
脚光を浴びる副軍司令の傍らで、4月時点で司令官と目されていた津田沼副軍司令は、 
凹藻軍親軍の横槍を受け、携帯軍とは関係の無い軍の軍司令に左遷されていた。 

失意の副軍司令に、亡駄軍の無頼炎代理軍司令が片手を差し伸べ、言った。 
亡駄軍を率い、凹藻軍と一戦交えて見る気はないか、と。 
これに対し副軍指令は、 
「凹藻軍時代から、世界で最も強力な競合相手は亡駄軍と感じていた」 
と語り、その手を握った。 
8月16日、亡駄軍の軍司令に12月1日をもって凹藻軍副司令が就任する、 
という驚愕の事実が発表された。 
津田沼軍指令は凹藻軍の技術的な点において、非常に貢献した人物で、 
凹藻軍の内情を知り抜いた人物が他軍のトップに立つことは、 
凹藻軍に天敵が現れたことを意味していた。 
年末からの亡駄軍は、新軍司令の指揮するまったくの別軍と考えて良さそうだった。 

一方、Dぽ軍では新型機ぴぴっとフォン軍、安心だフォン軍の投入が発表された。 
9月に完成次第、一部が現在苦戦中の東北戦線に投入されることになるだろう。 
これで、9月までのDぽ軍の新型機3機は全て発表された。 
来年度夏からの音声定額も発表されるなど、8月は大きな動きのあったDぽ軍。 
まだ日中は暑いものの、風が涼しくなってきた。 
AH-K3001V軍の端末不足もほぼ解消され、長期計画発表までどれだけ伸ばせるかが 
鍵になってくる。Dぽ軍の夏は、まだ終わらない。 
862: 非通知さん [sage] 04/09/04 01:18 ID:erz0WbtJ

遡る事一週間、8月25日。 
ついにアステル関西軍の音声端末の砦が落ちた。 
9月一杯でアステル関西音声端末軍は停波、これによりDぽ軍は、 
徹底抗戦のデータ通信端末軍16万人に対し引き続き通信端末軍とMVNO軍で攻勢をかけ、 
音声端末軍は主力を中国・四国方面に移動することになった。 
ここでDぽ軍に対し、急使が届いた。 
「申し上げます!あう軍に、OPERA端末機が予定されている由にございます!」 
(ついに来たか…) 
「時期、価格、ダウンロードになるか、等は未定にございます。」 
さらに、また一人別の使者が慌しく入ってきた。 
「申し上げます。FOMA軍に、モトローラからフルブラウザ対応機が加わるそうです!」 
「してその時期は。」「来春発売とのことでございます。」「モトローラ・・・これはNetFront搭載だろうか。」 
(凹藻軍は来春、あう軍は未定か・・・) 
もし両者が発売されれば、たとえ限定的なものであってもPHSの優位性は揺らぐことになる。 
一刻も早い音声端末新型機の開発が期待された。 

9月に入り、激戦の携帯業界で、まず凹藻軍が動く。 
軍加入者による相互の芋メール交換を無料(例外有)、 
指定電話番号への割引等、軍内の結束強化に動き出した。 
これにより、凹藻軍からの軍加入者流出が無くなれば、自軍内の2G→3Gへの変更が 
ほぼ終了しているあう軍や他陣営は、苦しい立場に置かれることになる。 

Dぽ軍は今年度発売の6機種のうち、ぴぴっと軍を今日9月4日に、 
安心だ軍を9月上旬に出陣させ、同時に9月10日、本田軍から128K対応、 
精巧器械軍もTwo LINK DATA専用の新隊を結成。側面から音声軍を擁護する。 

しかし、FOMA軍もらくらくほん部隊を編成、ぴぴっと隊と時を同じくして今日9月4日に 
出陣となる。両軍は想定する合戦場において競合の立場に置かれていた。 

新竜巻の効果により、速度面がまず強化されたDぽ軍。次に仕掛けてくるのは、どの陣営か。 
213: 非通知さん [sage] 04/10/02 02:58:03 ID:uNDiGXrU

2004年10月1日、ついに新生Dぽ軍が誕生した。 
新生Dぽ軍は、その名称こそ変更は持ち越されることとなったが、 
軍創設以来のDNAであるひたむきな努力と、果敢に挑戦するチャレンジ精神を大切に、 
「便利で」「安心」「安全」な国作りに貢献したいとの力強い宣言を行った。 

携帯業界は、遡る事一ヶ月、8月末の軍加入者数においてあう軍が夏WIN軍の猛攻により、 
2ヶ月首位を奪還していた凹藻軍を8万4千8百もの大差を付けてこれを一蹴、 
再び軍加入者数の首位に返り咲いた。 
凹藻軍は健闘したが、東京、九州において落ち込みが激しく、あう軍の後塵を拝した。 
9月に入ってもあう軍の勢いはとまらず、携帯電話の9月軍加入者増加数については 
凹藻軍の那賀村将軍をして、「9月はあう軍に負けたと思う」と苦い顔で予測を行うほどだった。
一方、8月時点で1万8千余りの増加に転じた亡駄軍は、10月の新軍移行を控え、9月末に 
W-CDMA方式の新端末7モデルを発表し攻勢をかけてきた。 

そんな中で新生Dぽ軍が気になるのは、あう軍樫尾隊に搭載されるともっぱらの噂の 
BREW版Opera砲だったが、10月に入って意外な所からフルブラウザが現れた。 
ジグ砲、である。 
このジグ砲はその性能においてOpera砲には遠く及ばず、月額の料金を取られるなど、 
先行のOpera砲に比べまずい点は多々あるが、3G携帯軍の持つスピードとあわさると 
少々厄介だった。 
加えてこのジグ砲はJAVA製のアプリであり、アプリによる容量等の限界があるが、 
対応の機種ならばあう軍、凹藻軍の垣根を越えて使用できる便利さがあった。 

今回はそれほど凄まじいブラウザ砲では無かったが、この反響を見れば 
やはりこうしたフルブラウザは不可避の流れ。 
新生Dぽ軍は携帯軍のブラウザ武装に対しても、何かしらの対策を打つ必要が 
あった。 

しかしDぽ軍もただ手をこまねいて見ているだけではなく、新生Dぽ軍にはまだ切ってい ない
切り札が存在する。 
これから12月にかけての2ヶ月は、各軍の一挙一動によって情勢が変化してくるだろう。 
モバイル市場は、まさに新しい時代へ突入しつつあった・・・ 
194 名前:非通知さん 投稿日:05/01/01 01:41:58 ID:s/JRVNLE
2005年、1月1日。 
2004年全般を通し、Dぽ軍は京ぽんことAH-K3001Vの牽引によって、 
2004年11月の戦績を純増8,600とし、関東、東海、そして西日本全域において 
加入者数を増やすことに成功した。 

遡る事2ヶ月、Dぽ軍司令官は、10月14日あう軍の会見の翌日に記者会見を行った。 
この時、会見に出席したメンバーを指してDぽ軍生え抜きであることを挙げ、PHSを愛してやまないメンバーに
よる、新生ウィル軍での積極的な展開をアピールした。
"PHSを 愛している" 
Dぽ軍司令官による軍に対する熱い想いは、その後(音声端末は)捨てた、といわれたドコP軍と対極をなし、 
新生Dぽ軍の将来に対しての期待を抱かせるものだった。 
さらには司令官は副会長の地位に付き、より広い視点からの戦略を考え、一方でDぽ軍新司令官として 
旧日電軍から、矢剣副司令官を召還し、新たな勢力拡大を企図していく。 

苦難の2003年、萌芽の2004年を経て、この2005年は新生ウィル軍にとってその成果が試される年となる。
150 名前:非通知さん 投稿日:05/01/26 20:31:38 ID:4uF4Gdy80

平成17年1月25日。かねてからの条約に基づきDぽ軍とアステル沖縄軍は合流し、新たな軍:ウィルコム沖縄軍が誕生した。
奇しくもアステル沖縄軍が発足したのが96年1月25日であり、丸9年目での再編成となった。
その数週間前から旧アステル沖縄軍に所属していた兵士約五万名への端末の換装が行われていた。
これまでの端末では新体制へ対応できないためだ。

換装は以下のように進められた。

無料:AH-J3003S,RZ-J90(3000台限定) 
\2100:AH-J3002V(7000台限定) 
\3150:H-SA3001V(1500台限定) 
\5250:AH-K3001V 
(AH-K3001V,H-SA3001Vはハートフル割引、家族割引子回線端末選択不可) 

ちなみに「ハートフル割引」とは老齢者や障害を持つ者に対して基本料1,000円(年間契約込みで基本料850円)で端末が使用可能になるというアステル沖縄軍の善行のひとつである。
これによりアステル沖縄軍はこの地域における支持を獲得してきたと云っても過言ではない。
なお、ハートフル割引は新軍においても高性能機以外の選択で継続可能となった。 
151 名前:非通知さん 投稿日:05/01/26 20:33:45 ID:5dfg5NY10

兵士への新端末への換装は着々と行われていたが、特異な現象が発生していた。 
新端末の内でもっとも多く採用されているのは無料でありかつ最新機種のAH-J3003Vなのだが、この中で一番旧式のJ90や、追加料金を払ってまでAH-J3002Vを採用したがる者も多かったのだ。

それらの兵士曰く 
「もう固定翼機(ストレート)はうんざりだ!」
「俺達は可変翼機(二つ折り)を待っていたんだ! うひゃあ、がまんできねぇ!」

アステル軍は資金難に陥ってからAJ-51以降の新型の導入が殆ど不可能な状況になっていた。
そのため兵士の士気も落ちていく一方だった所に軍の再編成により一気に新型が導入される形になったのだ。
彼らの喜び様は大変な物だったのだ。

元アステル軍所属の補給部隊士官は顔をほころばせながら、顔を紅潮させている兵士達に次々と新型を配給していった。
47 :非通知さん :2005/03/25(金) 16:40:18 ID:sg4FHAHq0
    前回までのあらすじ
    鷹山率いるアステル軍が次々解散する中、ついにドコモPHS軍までもがPHS陣営から本格的に撤退を始めた
    その後、鷹山は英軍Airspanと共にWiMAXの実装実験を行い、ドコモPHS軍はFOMA軍へと合流する形となった。

    WILLCOM軍は、起死回生を賭けるべく八剱軍司令官と共に音声定額兵器を披露した。既にPHS陣営はなりふり構わぬ状況であったからだ。
    これによりWILLCOM軍は、携帯電話に対抗するべく大規模広告キャンペーンを展開。これが功を奏したかのように民衆によるPHSへ期待は一層に高まった。
    しかし、音声定額兵器はバックボーンIPカがフルに稼働している状況でない状況では、自らをも食い潰す諸刃の剣である。
    現行のNTT依存のISDN網のままでは意味が無い。高度化基地局とITXの増産、そして設置兵の増員が今年一年の課題であろう。
    PHS陣営の最後の希望となったWILLCOM軍は、音声定額兵器による携帯電話陣営への最後の宣戦布告を行ったのだ。

    生み親であるKDDIから一人立ちして早一ヶ月、山下連隊長には独立の際の小野寺元帥の寂しそうな顔がふと頭を過ぎっていた。
    既に覆水盆に返らず、KDDI率いるAU軍とWILLCOM軍は敵対同士である。引き返す事はもうできない。
    最後になるだろう五月一日の第二次定額戦争に向けて、各軍は次々と新兵器を開発と量産を始めた。 
324 :非通知さん :2005/03/27(日) 00:31:34 ID:LntrbSt30
前回までのあらすじ 
2005年2月2日。飯田橋フェニックスの助けを借りて、Dぽ軍から新生ゐるこむ軍が誕生した。 
ゐるこむ軍という新しい軍の存在を示すため、道行く人々の眼前に新生ゐるこむ軍の4色旗が翻った。 

新生ゐるコム軍は総勢300万人の寡勢ながらも新軍設立の創世期にあたり、 
その勢い盛んにして人々の意気も軒昂であった。 
さらに独立の際に過去の負債を一掃、あう軍からも距離を保つことによって、 
物心両面からの自由度が増した。 

そのため、苦戦を強いられた昨年とは一転し、今年の姿勢は"攻め"に転じていた。 


ゐるこむ軍誕生の前日、凹藻P軍の撤退が非公式に漏れ、PHSの衰退が大々的に報じられたため、 
昨今の出来事を知らない人々に、PHSの将来に対する閉塞感が漂った。 
そんな中で誕生したゐるこむ軍は、2月18日に日通開拓データ端末軍を進軍させ、 
完全撤退に動揺する凹藻P軍のデータ端末、圧倒不利移動軍に対しこれに攻撃を加え 
けん制した。 
凹藻P軍を無事FOMA軍に合流させたい凹藻軍那賀村司令官は、3月18日より凹藻P軍の 
FOMA軍移行に対して多額の優遇策を採用、これに対抗した。 

凹藻軍は、司令官の交代以来、非常に他軍の動向に関して敏感になり、 
対抗策を打ち出すその動き素早く、まさに鉄壁の守りを現出せんとしていた。 
凹藻軍の守りが堅くなったことにより、ここ数ヶ月のあう軍は、非常に苦しい戦いを 
強いられていた。 
325 :非通知さん :2005/03/27(日) 00:32:36 ID:LntrbSt30
「凹藻軍が優遇策を採ることは分かっていた。これに注力することはしない」 
ゐるこむ軍矢剣司令官はそういい、軍を本格的に凹藻P軍に向ける事は避けた。 

ただし、3月末の凹藻P軍の完全撤退の正式発表の時には 
ゐるこむ軍はこれを逆手に取り、カウンターパンチを放った。 
撤退宣言と時期を同じくして、PHSを継承していくのはゐるこむであることを宣言し、 
衰退するのは凹藻軍であり、ゐるこむ軍はこれからも発展する、という内容を世に広めた。 


そして2005年3月25日、ついに、音声軍に置いても新生ゐるこむ軍は他軍に対し大規模な攻勢に出た。 

これは世に言う、"音声無料"戦略である。 

これは他軍の優遇策を物足りない、とし、我が軍ならば完全定額である、と 
携帯軍全体に対する優位性を示したものであった。 
PHS軍はその基地は小規模にして密に配され、同一戦域内において、他軍よりも多くの兵力をその中に 
配置することが可能だった。 

100万人の軍加入者増を目指し、動き出したゐるこむ軍に、遂に念願の新規参入軍の噂が聞こえ始めてきた。 
ゐるこむ軍の挑戦に対し、他軍はどういう対抗策をとるのか、新規参入の端末軍は? 
春に向けて、各軍が一斉に動き出した。 
609 :白ロムさん :2005/08/17(水) 01:48:06 ID:dQ7f8M020
これまでの物語
かつてPHS軍中で、Dぽ軍と呼ばれる集団があった。
軍加入者総数290万人の寡勢ながらも独立心旺盛で、当時傘下に入っていたあう軍の元では思うように戦略を実行できなかったDぽ軍は、
当時総勢1500万人のあう軍からの独立を決意。
2004年3月になりふりかまわぬキャンペーンで軍の純減を止めることに成功し、間髪入れず5月に待望の新機、AH-K3001V(通称京ぽん)
の投入により、その後の純増傾向を確実なものとした。

戦記においてDぽ軍は、停波の続くアステル攻略と、Dぽ軍の軍加入者数が膠着状態にあった中国四国、北陸、東北北海道の3地点で
攻勢に出るため、京世良・日武(父、J3001V)隊長(中国四国)、山陽隊長(北陸)、日武(子、3003S)・本多隊長(東北北海道)を派遣し、
西進軍、北上軍、東進軍として3方向に軍を展開。
その後Dぽ軍は、2004年10月に新生Dぽ軍、翌年2月には新名称をゐるこむ軍とし、あう軍からの独立を果たした・・・
614 :白ロムさん :2005/08/17(水) 01:52:28 ID:dQ7f8M020
前回までのあらすじ
2005年7月28日、アステル軍の最後の砦、アステル東北軍が新規軍加入者の募集停止を決定した。
この発表によりアステル音声端末軍は今後軍加入者が増える可能性は全て絶たれ、
1995年10月の建軍から10年余りにして、アステル音声端末軍は通信業界からの撤退が確実となった。

7月28日、仙台市青葉区。アステル東北軍は、遂に新規軍加入者募集を停止し、通用門を閉鎖することにした。
閉まりつつある城門から最後に駆け込んだ100名を収容すると、城門には閂がかけられた。轟音とともに、アステル軍本丸に続く門は堅く
閉ざされ、その後再び開くことは無かった。
遠くからその光景を見ていた、ゐるこむ東進軍を率いる本多隊長は
(あの時データ通信軍が分離されていなければ、眼下の光景はゐるこむ軍のそれだったかもしれない・・・)
と静かに思った。

アステルが衰退する一方で、ゐるこむ軍は音声無料戦略以降、軍加入者が急増。
ゐるこむ軍の宣伝攻勢と時を同じくして2005年3月には北海道、同年4月には東北を純増へ引き上げ、全国全ての戦域における純増を達成した。同年5月にはゐるこむ軍の牽引によりPHS総軍の純増数が純減数を上回り、2003年4月の純増以来、実に2年の苦難の歳月を経てPHS総軍を
再び成長路線に乗せることに成功。
現在のゐるこむ軍は、非常に勢いがあり、特に6月はあう軍の新規軍加入者の半分に届く8万人の軍加入者増を果たし、その数は塚軍に迫りつつあった。

今回、アステル東北軍の事実上の撤退によりアステル音声端末軍は滅亡し、早晩歴史の表舞台から姿を消すことと相成った。これにより長きにわたったアステル攻略は終盤を迎え、各方面軍は軍の一部を残してゐるこむ軍の最大拠点である東京に凱旋した。

こうしてゐるこむ軍は、秋口に始まる大規模な攻勢に向けて、各地に散らばった隊長達がここ虎ノ門城に集結した。(続く)
58 :白ロムさん :2005/10/18(火) 02:08:39 ID:0ak4LIYT0
前回までのあらすじ

AH-J3003Vの発売から1年以上。そして新軍誕生から半年以上、
旧Dぽ軍こと、ゐるこむ軍には新機体が登場せず、ゐるこむ軍所属の隊員の士気は下がっていた。
そこで、ゐるこむ軍・八剣司令官は秘密裏に日無、京世良、山陽の各隊長に宛てて
新機体の製作命令を出した。製作は秘密裏に行われ、隊員の中でもその詳細を知るものは少なかった。

そして2005年9月27日。ゐるこむ軍は新機体を発表した。
310シリーズ共通機能として、フルブラウザ砲・ミニSDカード砲、
そして2.4インチ大画面QVGA砲が搭載されることになった。

まずは「京ぽん」でDぽ軍のV字回復を成し遂げた京世良隊長のWX310K部隊(通称京ぽん2隊)
従来機同様、フルブラウザ兵器としてOPERA砲を搭載するが、
京ぽん隊(通称ヒトバシラー隊)によりフィードバックされた「全画面砲、拡大縮小ボタン砲」が搭載された。
また、敵軍と比べて「使い物にならない」と言われたカメラにも
「メガピクセル砲」を搭載。同時に「QRコード砲」「ミュージックプレイヤー砲」
「Flash砲」がオプション追加として利用出来るという先進機能も付いた。

また、京ぽん隊も若干改良され、WX300K部隊としてスタートする事になった。
こちらはSDカード砲は無いが、35万画素カメラに8MBメモリと、
ヒトバシラー隊の要望を聞き入れた上での低価格機となる見込みだ。

次に日無隊長のWX310J部隊。
指紋認証砲、韻照り辛苦砲など、「法人の日無」を見事に披露した美しいストレート機となった。
今回よりネットフロント砲はフルブラウザ兵器に進化し、
JAVA砲にて後からアプリケーションを追加する事が出来るようになった。

そして最後は山陽隊長のWX310SA。
山陽隊長にとっても、初のフルブラウザ砲、JAVA砲を搭載する事になった。
基本的な部分は日無隊に準じるが、二つ折り機体であること、
メガピクセル砲が搭載されている事など、細部ではかなり違うようだ。

八剣司令官は「Dぽ軍の建軍から数えても、初の4機同時発表となる。
何処の部隊へ行くか是非とも悩んで欲しい」と言い、その場を立ち去った。 
795 名前:白ロムさん:2005/10/20(木) 15:19:41 ID:MJfq1i2W0

下手糞だけど、勘弁してくれorz 
前回までのあらすじ 

2005年9月・・・虎ノ門城 
ゐるこむ軍、矢剣総司令の元に3人の男が尋ねてきた。 
一人はゐるこむ軍・データ端末隊の本多隊長、もう一人は米国・極小柔軍駐日代表の比喩巣屯氏、そして最後の一人は夏普軍PDA隊長の真津本氏であった。 
夏普将軍・・・某駄軍や凹藻軍に機体を供給する携帯軍の中でも松下軍・山陽軍に匹敵する大軍である。 
以前は凹藻P軍に(Dぽ軍にとっての京世良隊のように主力部隊として)機体を供給していた経験もあり、PHS戦においてもかなりの戦力を持っている。 

矢剣総司令は「これはこれは夏普軍のPDA隊長殿ではありませぬか。如何なされた」と出迎えると、夏普軍PDA隊長はおもむろに1枚の和紙を取り出した。 
そう。これは2004年6月−ゐるこむ軍がまだDぽ軍であった頃−当時の司令官が無理を承知で夏普将軍へ宛てた手紙であった。 

「恥かしながら、昨今PDA軍は非常に苦戦してござる。我が軍も縮小の方向になりつつあり、なんとしてもPDA軍の再興を願い、貴軍と一緒に戦うため馳せ参じた次第でござる。」と夏普軍PDA隊長は丁寧な口調で話した。
799 名前:白ロムさん:2005/10/20(木) 15:22:00 ID:MJfq1i2W0

(>>795 続き) 
これに続けて比喩巣屯氏は「我々の開発した基本兵器、『卯印度臼藻場入』はPDAと携帯電話の融和。つまりスマートフォン兵器の構築が可能である。夏普軍とゐるこむ軍の共同戦線に我々も一つ仲間に入れて頂けないか」と告げた。 
また、本多隊長は「我が本多隊が開発したゐるこむ士夢を利用すれば、PDAとPHSの融和は至極簡単でござる。」とも付け加えた。 

矢剣総司令は驚いた。W-CDMA配下の夏普軍がまさかゐるこむ軍に直接来るとは思わなかったからである。 
「それはそうと真津本殿、貴軍は凹藻軍や某駄軍に端末を供給しておるではござらんか。何故、日本初のスマートフォン兵器を我が軍に供給なさるのか?」 
真津本隊長は「凹藻軍・某駄軍共に、スマートフォン兵器を投入するにはコストの面で扱えない可能性が高く、実用性に耐えないと判断したからでござる。 
貴軍のゐるこむ士夢で機体の生産コストを削減し、貴軍の音声・データの定額兵器で隊員それぞれが支払うコストも削減出来る為でござる。」と答えた。 

矢剣総司令は思わず目頭が熱くなり、「我らが行ってきた事は間違いではなかった!」と叫んだ。 
そして、2005年10月20日・・・・夏普軍にとって初めてのゐるこむ軍向け端末、そして日本初の「卯印度臼」搭載スマートフォン兵器である、「零三」が発表された。(続く)

対応表

[↑] [編集]

Dぽ軍     =DDIポケット
ゐるこむ軍   =WILLCOM
あう軍     =au
凹藻軍     =NTT DoCoMo
亡駄軍     =vodafone
日電軍     =J-PHONE
塚軍      =TU-KA
柔軟銀帝国   =ソフトバンク

京世良隊長   =京セラ
日武隊長    =日本無線
山陽隊長    =三洋電機
本田隊長    =本多エレクトロン
精巧隊長    =セイコーインスツルメント

素尼将軍    =ソニー
素尼衿将軍   =ソニー・エリクソン
夏普将軍    =シャープ

虎ノ門城    =WILLCOM(旧DDIポケット)本社

一行コメント

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