もくじ
2005・2006年に行われた「1.7GHz帯・2.0GHz帯携帯電話サービス」への周波数割り当てについて
概要
2005・2006年に、1.7GHz帯(1,749.9MHz〜1,784.9MHz、1,844.9MHz〜1,879.9MHz)、2.0GHz帯(2,010MHz〜2,025MHz)の周波数の携帯電話事業者への割り当てが行われた。以下に簡単に経緯を列挙する。
註:2007年末から検討が始まった、2.0GHz帯の再割り当てについてはこの項では扱わない (参考:総務省が電波監理審議会においてアイピーモバイルに割り当てていた2GHz帯周波数を取り消し | memn0ck.com)。2.0GHz_(TDD)を参照。
2004/9/30:周波数帯追加
1.7GHz帯、2.0GHz帯の周波数帯を携帯電話用のものの候補とする。
- 携帯電話用周波数の確保に向けた取組(総務省)(2004/9/30)
- 「携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会」意見の要旨の公表(総務省)(2005/2/8)
- 800MHz帯を2012年までに再編。
→携帯・PHS関連@Wiki - 800MHz帯周波数再編情報 - 1.7GHz帯を新規参入事業者に割り当てる。上下の組み合わせが確保できる為、FDD方式を候補とする。
- 2.0GHz帯を新規参入事業者に割り当てる。上下の組み合わせが確保できない為、TDD方式を候補とする。
- 2.5GHz帯は国際機関で検討中。ただし日本では対となる周波数帯が確保できない為、TDD方式になる。
→2.5GHz広帯域移動無線アクセスシステム/2.5GHz高利得FWAシステム
2005/7/27:免許方針決定
- 2GHz帯IMT-2000(TDD方式)及び1.7GHz帯IMT-2000(FDD方式)の技術的条件 情報通信審議会からの一部答申(総務省)(2005/5/30)
- 1.7GHz帯又は2GHz帯の周波数を使用する特定基地局の開設に関する指針案等に対する意見の募集(総務省)(2005/6/3)
- 1.7GHz帯又は2GHz帯の周波数を使用する特定基地局の開設に関する指針案等に対する意見募集の結果(総務省)(2005/7/8)
- 1.7GHz帯又は2GHz帯の周波数を使用する特定基地局の開設に関する指針案等に係る意見募集の結果及び電波監理審議会答申(総務省)(2005/7/27)
1.7GHz帯
1.7GHz帯は、第三世代携帯電話(IMT-2000)のFDD方式(周波数分割複信方式)での運用が条件とされる。最大2社の新規参入事業者に対して、日本全国で利用可能な「全国バンド」を上下5MHzづつ割り当てる。残りは周波数の逼迫状況に応じて全国バンドを割り当てた事業者に追加で割り当てる予定。また東名阪地域での周波数帯域が逼迫している事業者 (新規・既存) に対して、「東名阪バンド」をその逼迫状況に応じて上下5MHzづつ割り当てる。
追加割り当てについての条件は、加入者数に基づいて指定されている。
基地局→端末 下り | 基地局←端末 上り | |
1,844.9MHz | 1,749.9MHz | |
全国バンド(1) | ||
1,849.9MHz | 1,754.9MHz | |
全国バンド(2) | ||
1,854.9MHz | 1,759.9MHz | |
全国バンド(3) | ||
1,859.9MHz | 1,764.9MHz | |
東名阪バンド(1) | ||
1,864.9MHz | 1,769.9MHz | |
東名阪バンド(2) | ||
1,869.9MHz | 1,774.9MHz | |
東名阪バンド(3) | ||
1,874.9MHz | 1,779.9MHz | |
東名阪バンド(4) | ||
1,879.9MHz | 1,784.9MHz |
(参考)「東名阪地域」について
「東名阪地域」とは、以下のように定義されている。
茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
、山梨県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県(尾鷲市、熊野市及び南牟婁郡を除く。)、滋賀
県、京都府(福知山市、舞鶴市、綾部市、宮津市、京丹後市、北桑田郡、船井郡、天田郡、加
佐郡及び与謝郡を除く。)、大阪府、兵庫県(豊岡市、養父市、朝来市、宍粟市、丹波市、篠
山市、西脇市、多可郡、神崎郡、飾磨郡夢前町、宍粟郡、揖保郡新宮町、佐用郡、赤穂郡及び
美方郡を除く。)、奈良県(吉野郡十津川村及び下北山村を除く。)及び和歌山県(御坊市、
田辺市、新宮市、日高郡、西牟婁郡及び東牟婁郡を除く。)の区域
2.0GHz帯IMT-2000 TDD方式
2.0GHz帯は、第三世代携帯電話(IMT-2000)のTDD方式(時分割複信方式)での運用が条件とされる。最大1社の新規参入事業者に対して、25MHz割り当てる。
2,010MHz 2,025MHz | TDDバンド |
(参考)第三世代携帯電話の通信方式について
第三世代携帯電話(IMT-2000)では、2008年頭現在6つの方式が規定されている。このうち最後のIMT-2000 OFDMA TDD WMANは2007年になってからの採用である。
多重方式 | 名称 | 別名 | 採用している事業者 | メモ |
FDD | IMT-DS | W-CDMA | NTTドコモ、ソフトバンクモバイル、イー・モバイル | |
FDD | IMT-MC | CDMA2000 | KDDI、沖縄セルラー (au) | |
TDD | IMT-TC | TD-CDMA TD-SCDMA | ||
TDD | IMT-FT | DECT | ||
FDD | IMT-SC | UWC | ||
TDD | IMT-2000 OFDA TDD WMAN | Mobile WiMAX | UQコミュニケーションズ | 2007/10/19追加 |
2005/8/22〜2005/9/30:新規参入事業者申請受付
1.7GHz帯全国バンド、2.0GHz帯の新規参入事業者の申請を受け付けた。1.7GHz帯にはBBモバイル、イー・モバイルが、2.0GHz帯にはアイピーモバイルが申請した。BBモバイル、イー・モバイルはW-CDMA方式、アイピーモバイルはTD-CDMA方式のサービスを行うと表明している。
2005/11/9:関係法令整備
2005/11/9:1.7GHz帯・2.0GHz帯新規参入事業者決定
申請のあった3社に割り当てることを決定した。
基地局→端末 下り | 基地局←端末 上り | ||
1,844.9MHz | 1,749.9MHz | ||
全国バンド(1) | BBモバイル | ||
1,849.9MHz | 1,754.9MHz | ||
全国バンド(2) | |||
1,854.9MHz | 1,759.9MHz | ||
全国バンド(3) | イー・モバイル | ||
1,859.9MHz | 1,764.9MHz | ||
2,010MHz | |||
TDDバンド | アイピーモバイル | ||
2,025MHz |
2006/3/15:1.7GHz帯東名阪バンド割り当て
NTTドコモグループ3社に東名阪バンドの1,779.9〜1,784.9MHz/1,874.9〜1,879.9MHz (上表での「東名阪バンド(4)」) を割り当てた。NTTドコモの3G方式の周波数割り当ては20MHz(FOMAプラスエリアを除く。2GHz帯:2130〜2150MHzの20MHz幅)なので認定基準に拠れば1500万加入が必要だが、TCA公表の2006/2末時点での3G方式の加入者数は約2,200万件なので要件を満たす。
- 1.7GHz帯東名阪バンドを使用する特定基地局の開設計画の認定(総務省)(2006/3/15)
2006/7/18:1.7GHz帯東名阪バンド追加割り当て
NTTドコモグループ3社に東名阪バンドの1,774.9〜1,779.9MHz/1,869.9〜1,874.9MHz (上表での「東名阪バンド(3)」) を追加で割り当てた。3月認定の5MHzを追加しても25MHz幅であり、基準は1,875万件なので要件を満たす。
- 1.7GHz帯の周波数を使用する特定基地局の開設計画に係る周波数の指定の変更(総務省)(2006/7/18)
その後
2006/5/17:BBモバイル、免許返上
BBモバイルがボーダフォンを買収した(2006/4。現ソフトバンクモバイル)ことを理由に、免許を返上した。
2007/3/31:イー・モバイル、サービス開始
イー・モバイルは2007年3月31日に、予定通りサービスを開始している。
- NEWS|本日、『EMモバイルブロードバンド』サービス開始 | eMobile(2007/3/31)
→実際のサービスについてはAirWiki:e-mobileを参照。
2007/10/30:アイピーモバイル、免許返上
アイピーモバイルの事業破綻に伴い、免許を返上した。
- アイピーモバイルからの2GHz帯の周波数を使用する特定基地局の開設計画の認定の返上について(総務省)(2007/10/30)
- 2GHz帯の周波数を使用する特定基地局の開設計画に係る認定の取消しに関する電波監理審議会からの答申(総務省)(2007/12/12)
2008/7/ :1.7GHz帯東名阪バンド追加割り当て?
NTTドコモに東名阪バンドの1,769.9〜1,774.9MHz/1,864.9〜1,869.9MHz (上表での「東名阪バンド(2)」) を追加で割り当て( 官報7/18号外に記載あり、詳細は確認中)