ウィルコムは来年春から「XGP(eXtended Global Platform; 次世代PHS)」を使った「WILLCOM CORE」のサービス展開を予定していますが,それとは別に現行PHSを使ったより高速な「高度化PHS (W-OAM)」を使った「W-OAM type AG 32x(仮称)」やW-SIMの高速化を行う「W-OAM type AG 8x(仮称)」などの考えを5月の「WILLCOM FORUM & EXPO 2008」で発表していました。それについて,石川温氏がウィルコム 近義起副社長にインタビューしていますよ。実は同席させてもらったんですが,WILLCOM COREの開発に手一杯で商用化にはかなり及び腰でした。「強いニーズ(声)があれば」ということを言っていたので,強く要望していきたいと思います(笑)。
個人的には,特に「W-SIM」の高速化は「WILLCOM CORE」に対応したものがなかなか出てこないだろうと思っているので必要だと思っているわけです。記事中にもありますが,問題は消費電力らしいんですよ。例えば,W-SIMの8xとなるtype AG 8xでも下りは64QAMな8xで800kbps,上りはその半分の400kbpsくらいにすればW-SIM規定の電力に収まりそうだとのこと。TDDなので2回に1回上りをさぼるだけでいいみたい。基地局もソフトウェア更新で対応可能とのことですし,後は人(つまりお金かな(笑))だけじゃないかと。
ただ,近氏もきちんと最大速度1Mbps以上&実行速度500kbps前後あたりなら現状の動画などのウェブコンテンツにも対応できるという速度ニーズがわかっていたのでそのあたりは無駄にXGPで100Mbpsとか叫んでいるわけではないという安心もできました(ぉ
—– 以下、取材時のメモ(の一部) —–
非対称
束ねていけばいくらでも通信速度を高められるけど
消費電力・サイズがネック
消費電力としては送信がネック
だったら送信をカットしちゃえばいいじゃない
規格上は単純に上りをサボって速度を落とすと下りが速くなる
低消費電力技術ですよ
低消費電力技術をがんばると
いつ頃、近氏がこの考えを知ったのか?暮れか年明け
方式を検討している人に矛盾はないか確認
法的に入る可能性はある
規格化を検討している
消費電力は今よりは増える
越えないようにW-SIMの電力
今でもマージンはあるのでそこにぶちこむ
8Xで400k(100K/100K)なので
電力で収まる範囲内で100K/50Kなどのようにのぼりを下げていく
12Xくらいなら電力的には入る
組み合わせ、単純に
800kと1Mでは意味が違う
がんばって1Mを越えちゃえばいいんじゃね
どこまで本気でやるかはあれだけど
後は商品マーケティングとなる
16Xくらいの動作は可能であることを
実力では動く。規格(500mA)は越えるという範囲で動かした
PCMCIAは1Wなので16Xはありえる
ひとつは1Mは越えたい
いろんなところでスピードテストをしている
高度化した基地局だとRTTがかなり下がった
1.5MB(リニア)になったとすると600Kbps程度となって実力なら
遅延速度は実力日本一になっているはず
光化エリアを広げる(今年1年でかなり広げる)
光化エリアや高度化対応エリアがわからない。公開して欲しいのだが?
カタログも日本一になっていたほうがいいですよね
他は下がってくる一方なので上ればクロスオーバーする
2001年はじめのころ
動画は300kbps-500kbps-1mくらい
youtubeなどがきっちり見える
10M/20Mあったほうがいい
速度を自慢して電話機を売っているところはない
データカードを売るときには他にいうことがないから言うけども
AIR-EDGEで不満があるとすると動画が見れない
typeGと光化でかなり行く
WILLCOMとしては1年遅いんですけどね
光化しているんで徐々に快適になっているはず
今年は(ユーザーが)なにもしないで快適になっていく
実力はあるけど見栄えが悪い
見栄えも示してみた
非対称化のほうは基地局の準備があるけど
ネットワークは16Xまで対応可能
実力日本一になってみたい
海外普及の面もある
3.2Mbpsはかなりムリをしたんだけど(ラボベースなら可能だけど)
1.6-3.2Mbpsの間でモバイルとしての実用性が決まる
カタログ日本一は難しいけど、実力日本一
潮が引くようにはなっていない
はじめから12Xにしておけばよかった
WILCOM COREになったときにも消費電力の問題はある
固定回線サービスはバックボーンコストが高すぎてやってられない
スイッチは安くなったかといえば安くなってるけど追いついていない
変えようとしている従量制とかに
光ファイバーの速度を上げるという話は聞かない
上げたら本当に回らなくなってしまう
ワイヤレスだけ1Mというのかというと実際にそんなに速度が出ないから
エンジニアとしては作ってみたい
目の前にある現実を突き詰めただけ
消費電力を下げるというのは石を作り直すとかもあるのでメーカー次第
電力は問題となる
消費電力を下げる方向のひとつとしてマイクロセル
構想なら去年言ってれば
1M内外の実効値を保障できるといい
ADSLも安いプランが半分くらい
値段にセンシティブなユーザーが多い
7Kmを飛ばせるモデルなら今でもISDNになる
i-Burstが理論値1MB、実効値700K出るらしい
枯れたテクノロジーで実際に動いている
方式の差こそあれ50歩、100歩
コミュニティが小さいので思いついたらすぐ企画が持ち上げる
モビリティは別の議論ではある
フルIPのアプリケーションが動くことになる
いろいろ興味深いです。
全体の消費電力を抑えるための非対称「AG」というのは考えとしては確かに面白いです。というかまだ法的な話もあるのか。
こういう話が、typeG登場前に出てればなおよかったのですが。ウィルコム側がマイクロセルのメリットとしてよく口に出す「実効速度」というのは、今だ一般人には絵に描いた餅でしか無い訳です (結局同様に実効速度が下がるのではないか→最大速度の大小がすべてではないか、みたいな)。それを実証できる環境が先に整っていれば…。
ただW-SIM I/Fがボトルネックになり得る、というのをどう解決するんでしょう。電力については考慮されてるようなんですが。
> 高度化した基地局だとRTTがかなり下がった
これは高度化基地局対typeG対応機、での話でしょうか。それとも一般端末でも恩恵が?
> 速度を自慢して電話機を売っているところはない
> データカードを売るときには他にいうことがないから言うけども
www
ただ、通信基盤だけではなくその上のサービスまで通信事業者が用意しないといけないというのが日本の携帯電話業界ですから、それをどうフォローするのか、というのもありますね。ま、それは別の話なんでしょうけど。
>>1 もとひこさん
そですね、もっと早く出ていれば面白かったんですが。
それは、近さんも嘆いていました(苦笑)。
W-SIM I/FはどちらにせよXGP対応でもネックになるのでどうにかするんじゃないですかね。
どうにでもできる部分だと思いますし(対応ジャケット側は知らないけど)。
高度化した基地局のRTTへの恩恵はW-OAM対応機種のみですが、光IP化されたところでは非高度化基地局も含めて一般端末でも恩恵があるということだったと思います。
インタビューしたのがかなり前なので記憶が怪しいですが、固定区間のレスポンスが良くなるということだったかと。
後、どこか(2chかkeroさんところだったかと)で「変えようとしている従量制とかに」が「ウィルコムが」という突っ込みがありましたが、話の流れでは「(固定事業者が)従量制とかに変えようとしている流れがある」ということで、将来的にどうなるかはわかりませんが、今の時点で、ウィルコムがそういう流れにしようってことではなかったです。
そういえば「近 副社長」って「ちか」と読むんですね。
http://www.phsmou.org/news/news.php?id=806
> W-SIM I/FはどちらにせよXGP対応でもネックになるのでどうにかするんじゃないですかね。
> どうにでもできる部分だと思いますし(対応ジャケット側は知らないけど)。
理論上可能なのは判るんですが、例えばD4がそれに非対応とかいうと問題になるんじゃないかなとかも思うのです。一応アルテルの人の話 (29aTODAYより) だと開発中らしいことをほのめかしている様な無いような感じでしたけど。
規格だけは先に作っておくべきなのですが…。
# UARTベースではなくUSBベースとかだったらもっと楽だったんでしょうけどね。
> 話の流れでは「(固定事業者が)従量制とかに変えようとしている流れがある」ということ
どちらかというとそう受け取らない人が居たことに驚き。前後2行が固定回線の話なのに…。
ISP各社は帯域に何らかの制限を設けるようになってますし、WILLCOM COREもかなり大風呂敷を広げてます。早晩同様の制限が課せられるでしょうが、明確かつ公正なものを期待したいところ。「パケット」料金見たいな不透明なのは止めてねw
暇?人氏による解説
http://www.phs-mobile.com/?p=426
2008年末~2009年春:typeG 4X W-SIM
2009年末~2010年春:typeAG 8X W-SIM
2011年~2012年:WILLCOM CORE W-SIM
順調にいってもこんなもんか?